猛暑で飛行機が飛べない! 温暖化の思わぬ影響
航空業界は既にこの問題を経験済みだと、法律事務所コンドン&フォーサイスのマーシャル・ターナーは言う。対応策はいくつかある。より強力なエンジンを搭載するか、より涼しい時間帯にフライトスケジュールをずらすか。それが不可能なら重量を減らすしかない。
機体の軽い新型機を導入する手もあるが、少なくとも当面は乗客が減らされることになるだろう。コロンビア大学チームの予測では、減らす必要があるのは積載重量の0.5~4%。大した量ではなさそうだが、同チームの試算では「いま運航している平均的な旅客機で重量を4%減らすには、定員160人に対してざっと12人か13人乗客を降ろす必要がある」という。
【参考記事】「地球の気温は250度まで上昇し硫酸の雨が降る」ホーキング博士
同チームによると、ニューヨークのラガーディア空港は滑走路が短いため暑さの影響を受けやすい。アラブ首長国連邦のドバイ国際空港は、滑走路は長いが酷暑地域にあるためさらに深刻な影響を受ける。例えばボーイング777−300が最高気温の時間帯にこの空港から飛び立つには、55%の確率で積載重量を最高6.5%減らさねばならなくなるという。
長年、温暖化対策に及び腰だった航空業界が、今になって温暖化によるコストアップに苦しめられるとは何とも皮肉な話だ。
© 2017, Slate
[2017年8月 8日号掲載]