アルカイダとISISの近くて遠すぎる関係
アルカイダの創設者ウサマ・ビンラディン(左)と最高幹部のザワヒリ(01年撮影とされる写真) REUTERS
<国際テロ組織の勢力図が変わり、ISISが追い込まれても「ジハード連合」は生まれない>
ここ1年でテロ組織ISIS(自称イスラム国)が支配地域を大幅に失っていることは、イスラム教スンニ派のジハーディズム(聖戦思想)にどのような影響を与えるだろうか。
ISISの「ブランド力」は一気に低下するだろう。それに乗じて、国際テロ組織アルカイダが自分たちこそジハードの旗手だと勝利宣言をするか、あるいはジハードの枠組みを存続させるためにISISと手を組むとの予測が、繰り返し語られている。
しかし、ISISの壊滅作戦が進むなか、アルカイダの勝利宣言も、「ジハード連合」の結成も、実際に起こりそうな気配はない。
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まず、アルカイダが再び先頭に立つという予測は、彼らがいまだに強い組織であり、情勢の変化に対応して生き延びられるという前提に立っている。周到な戦略で人々の支持を集め、地域の戦闘を自分たちに有利に運ぶことができるというわけだ。
しかし、本当にそうだろうか。確かにアルカイダは、北アフリカからインドまで関連組織のネットワークに対し、一定の支配力を維持している。だが、昨年夏にスンニ派武装勢力のアルヌスラ戦線(現シリア解放機構)を失ったことは、イデオロギー同盟の限界を象徴している。
同盟関係にある組織の中でも最強とされていたアルヌスラ戦線が、16年7月にアルカイダとの関係解消を宣言した際は、多くの人が策略の一部だと考えた。しかし後に、アルカイダの最高幹部アイマン・アル・ザワヒリがこの件で相談を受けておらず、承認もしていないことが明らかになった。