アメリカの太陽発電ブーム、「トランプ関税」で終焉迎える?
最悪に備え
ソーラー関連企業はすでに実務面での修正を進めている。
韓国のハンファQセルズは、トランプ大統領が新たな貿易救済策を講じた場合、米国向け出荷を解約又は停止できるとの項目を契約書に加えている。
米国とフィリピンでソーラーパネルを製造しており、米国におけるプロジェクト開発大手でもあるサンパワーは、関税が米国産業の足かせになる場合、「迷わず」海外への事業展開を進めるとワーナーCEOは語った。
サウスカロライナに本拠を置き、電力事業者や一般家庭向けのプロジェクト建設に携わる太陽光発電企業サザンカレントは、今後の利用のためにモジュールを調達し倉庫で保管している。通常であれば、案件の資金調達が完了した後にモジュールを手配する、と同社の開発・戦略担当副社長ブレット・サワーズ氏は説明する。
「入手困難になることが心配なので、今はパネル購入に資金を注ぎ込んでいる」と同氏は語る。
テキサス州の電力事業者オースティン・エナジーは、「もし関税が導入されたら、弊社の太陽光発電プラントのうち1カ所に遅れが生じる可能性がある」とメールによる声明で警告している。
大規模ソーラーファームの建設に携わる、セントルイスに本拠を置くマッカーシー・ビルディング・カンパニーズは、あまりにも不確実性が大きいため、先日プロジェクト1件を棚上げにした、と再生可能エネルギー担当のスコット・カナダ上級副社長は語る。
今回の提訴で恩恵を受けている企業も、少なくとも1社ある。アリゾナ州テンピに本拠を置く太陽光発電モジュール製造大手ファーストソーラーだ。
ファーストソーラーが製造するソーラーパネルの原料は、市場の主流であり今回の貿易紛争の対象となった結晶シリコンではなく、テルル化カドミウムである。サニバが今回の請願を提出して以来、ファーストソーラーの株価は50%以上も上昇した。ファーストソーラーはコメントしなかった。
(翻訳:エァクレーレン)
[ロサンゼルス 25日 ロイター]