安倍改憲シナリオ、支持率下落で自民内に異論 政権維持に解散も
安倍首相は焦点である9条について、戦争放棄を明記した1項、戦力不保持と交戦権の否定を規定した2項を残して、自衛隊を認める3項の新設を提案している。
ただ、自民党の船田元・憲法改正推進本部本部長代行は「党内での一番の相違点は、9条2項を残すか、なくすかという点。 自衛隊は国際的にみて戦力だと言われているし、それにきちんと答えて軍隊として位置付け、自国を守ることを完璧にしたい(だから2項は廃止する)という人が、自民党内にはかなりいる」と述べ、党内調整に時間がかかるとの見方を強くにじませた。
さらに連立与党・公明党のサポートが得られるのか不明な中で、国会での憲法改正発議の手続きが前に進まない可能性が高まる。
同党の山口那津男代表は、今月14日のロイターとのインタビューで「今の憲法を変えてもらいたいと強く望んでいるかというと、今そういう国民の声があるわけではない」と明言。改憲に積極的な安倍首相との「温度差」がかなり鮮明になっている。
憲法改正には、衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成を得て発議することが必要。公明党が慎重姿勢を崩さない場合、改憲の発議のハードルがかなり上がることになる。
ただ、安倍首相に近い自民党執行部の中には、秋の臨時国会に自民党の改正案を出すという予定に変わりはないと「既定方針堅持」を強調する声もある。
総裁3選厳しく、来年通常国会に提出必須
支持率低下は、安倍首相の党総裁3選シナリオの実現にも大きな影を投げかけている。
野田氏は、安倍首相の総裁3選シナリオについて「そういう話だった」と述べた。あえて過去形としたことに触れ「可能性があるというだけ。そうなるかはわからない。今は非常に難しくなったという見方が増えている」と、党内情勢の変化に言及した。
また、内閣支持率の低下は、憲法改正の最大のハードルである国民投票における過半数の賛成票確保に大きな障害となりかねない。