最新記事

ロシア疑惑

セッションズ司法長官をクビ!にトランプ支持層が激しく動揺する理由

2017年7月26日(水)20時56分
ニナ・バーレイ

セッションズ司法長官(左)は一番の忠臣のはずだったのに Mike Segar-REUTERS

<保守派の信頼が厚いセッションズをこき下ろすトランプを、共和党や支持者も見放し始めた>

ロシア疑惑をめぐる捜査が進めば、リチャード・ニクソン元米大統領以来の弾劾危機にも直面しかねないというのに、相変わらず何でもツイートで解決しようとするドナルド・トランプ大統領を、支持者も遂に見放し始めた。保守派のメディア、米議会、そしてトランプ支持層も。

最も忠実な同志だったはずのジェフ・セッションズ司法長官を辞めさせる可能性を示唆するツイートの嵐が始まったのは7月24日の月曜だった。火曜の早朝にも続いた。なかには、ヒラリー・クリントンの私用メール問題の追及などに対して「非常に弱腰」だった、と非難するツイートもあった。

【参考記事】米政権幹部に襲いかかる、トランプの執拗な怒りの病

もし世の中の反応を試すためのツイートだったのなら、トランプにも分かったはずだ。司法省にロシア疑惑の捜査をやめさせる目的でセッションズを解任すれば、支持基盤との決定的な対決につながるということを。

共和党の元下院議員で現在はラジオ司会者のジョー・ウォルシュは本誌の取材に対し、セッションズの解任は「レッドライン(越えてはならない一線)」に当たるので、解任は賢明でないと語った。「ほとんどの視聴者が、トランプのセッションズに対する扱いが気に入らないと言っている。セッションズは立派な保守派だから」

右派メディアもトランプ批判

トランプの首席戦略官を務めるスティーブ・バノンの古巣で右派ニュースサイトの「ブライトバート」もトランプに噛みついた。セッションズへの攻撃は、トランプ自身の「弱腰」を浮き彫りにしたという見出しでこう書いた。「トランプの支持層は移民制限政策の実現に向けてセッションズに最大の期待を寄せており、支持者たちから懸念の声が上がるだろう」

「セッションズがこんな扱いを受けているのを見るのは嫌だ」と言ったのは、保守派のラジオ司会者ラッシュ・リンボーだ。トランプが「あれほど忠実な味方を批判する」のは「いささか不快で、あり得ない」

また米フォックス・ニュースの司会者タッカー・カールソンはこう言った。「ジェフ・セッションズに対する攻撃は無駄で自滅的な行為。政治でも戦争でも人生でも、いちばん重要なのは仲間を撃たないことだ」

【参考記事】FBIコミー長官解任劇の奇々怪々

トランプにとって本当に怖い相手である米議会も、態度を硬化させている。

トランプは、セッションズがロシア疑惑の捜査の担当から外れたことを非難している。そしてその最終目標は、ロシア疑惑の捜査を担当する特別検察官ロバート・ムラーの解任ではないか、と噂されている。

だが議会は、ムラーの存在に関係なくロシア疑惑の捜査を続行し、トランプを弾劾する権限も握っている。

【参考記事】就任5カ月、トランプは馬鹿過ぎて大統領は無理

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

10月の全国消費者物価、電気補助金などで2カ月連続

ビジネス

欧州新車販売、10月は前年比横ばい EV移行加速=

ビジネス

ドイツ経済、企業倒産と債務リスクが上昇=連銀報告書

ビジネス

日産、タイ従業員1000人を削減・配置転換 生産集
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中