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搭乗手続きは「顔パス」で 監視社会が本格化?

2017年7月18日(火)09時50分
ハリソン・ルドルフ(法律専門家)

そこまで慎重なのは誤認の恐れがあるからだ。ジェットブルーの場合、誤認率は最大4%。システムが顔を認識できなかったせいで予定の便に乗れなくなりかねない。

ある調査によれば、撮影後6年以上経過した写真では認識精度が落ちるという。アフリカ系アメリカ人や女性などの場合、誤認率が高くなるとの調査結果もある。

それだけではない。DHSの顔認証システムが拡大されるとしても不思議はない。DHSは既に多くの旅行者が警戒しそうな形でこっそり顔認証の写真を使っている。例えばジェットブルーがスキャンした乗客の顔写真は一時的にDHSのデータベースに保管されており、今後テロリストやテロ容疑者のリストと照合されるようになる可能性は十分ある。

【参考記事】トランプの2017年は小説『1984年』より複雑怪奇

しかも、これは始まりにすぎないかもしれない。関係者によれば、DHSは航空機の安全をつかさどるTSAのセキュリティーチェックに顔認証を導入すべく内部交渉中だという。

DHSが今後、顔写真を国や地方自治体の司法当局のデータベースで検索したり、FBIと顔写真を共有したりする可能性もある。

政府にそこまで監視されたら、プライベートな旅行が台無しだ。


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© 2017, Slate

[2017年7月18日号掲載]

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