カタール断交、長期化なら通貨防衛で海外資産売却も
海外資産の売却
湾岸諸国の危機を見守っている者にとって、最大の壁は海外資産の規模と場所を特定することの難しさだ。
米政府のデータによると、湾岸諸国は米国債を約2400億ドル相当保有している。サウジは中銀資産の大半をドル預金で保有しており、米国債保有は1260億ドルに上ると見られている。
いざという時、湾岸諸国はどの程度簡単に海外資産を換金できるのだろうか。フィッチの推計によると、不動産を大量保有しているカタールでさえ、非流動資産は1、2割に過ぎない。
コンサルタント会社TSロンバードの中東エコノミスト、マーカス・シェネビクス氏は「湾岸諸国はいざとなれば流動資産を売却できると考えておいた方がいい。カタールは保険のため、流動性の低い資産からより流動性の高い資産に、つまり不動産から株式に資産の一部をシフトさせていると確信している」と語った。
もっとも、2つの要因が危機の影響を和らげるかもしれない。
第1に、世界の年金・保険資産は70兆ドルに及び、拡大を続けているため、湾岸諸国の資産売却を相殺できるだろう。第2に、湾岸諸国の債務水準は低く、虎の子を売り払わなくても今後とも起債によって資金を賄うことが可能なはずだ。
ロンバー・オディエの首席グローバルストラテジスト、サルマン・アーメド氏は「湾岸諸国は起債で調達した資金を使って不足分を埋めてきた」と話した。
(Sujata Rao記者)