トランプにつきまとうロシア疑惑の影 米ロ会談は進展見込めず
また、ティラーソン国務長官などはトランプ氏の親ロ政策を支持しているが、ペンス副大統領やヘイリー国連大使など他の勢力はロシアに対して強硬な姿勢を採っており、政権内部は一枚岩ではない。
シリア問題やウクライナ問題などロシアの協力が重要な課題で、米国が主導権を握って解決を図るとの期待感はしぼんでいる。
ドイツの外交筋は「トランプ氏は前足を縛られた馬のようなものだ。ロシアに関して大きな前進はあり得ない。そうしようとすれば、ロシアと口裏を合わせたとの疑念が即座に巻き起こる」と言い切った。
マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は記者会見で米ロ首脳会談について、特に議題は決まっておらず、内容はトランプ大統領次第だと述べた。
こうした姿勢に異議を唱えるのはオバマ政権下で駐ロ大使を務めたマイケル・マクフォール氏で、トランプ氏は明確な目標を欠いたままプーチン氏との首脳会談に臨むのではないかと危惧している。
マクフォール氏は、トランプ氏は先ずウクライナ問題やシリア問題などで米国が何を目指すかを考え、それからこうした目標を達成するためにプーチン氏との会談でどうするか判断すべきだと指摘した。
古参議員からは、トランプ氏が米大統領選へのロシア介入疑惑についてプーチン氏と正面から向き合わない限り、ロシアとの関係が大きく進展することはないと冷めた声も聞かれる。
今のところトランプ氏は首脳会談で介入疑惑を持ち出すそぶりは見せていない。ジョージタウン大のアンジェラ・ステント教授は「ロシア関連の疑惑を巡る捜査の影が首脳会談を覆っている」と述べた。
(Roberta Rampton記者)
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