北朝鮮、ICBM発射実験に成功と発表 米アラスカに届く可能性も
6月4日、北朝鮮国営テレビは、同国が金正恩朝鮮労働党委員長の指揮の下、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験に成功し、世界中どこでも到達できるミサイル技術を獲得したと報じた。写真はソウルでニュース映像を眺める男性(2017年 ロイター/Kim Hong-Ji)
北朝鮮は4日午後、国営放送を通じ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと発表した。専門家は、通常の角度で発射すれば米アラスカ州に届く可能性があると指摘。日本や米国など関係各国は、ICBMだったかどうか慎重に分析する。
射程8000キロ以上との見方も
北朝鮮は午前9時39分ごろ、同国西岸から1発の弾道ミサイルを発射。午後3時半、ICBMの発射実験に成功したと発表した。高度は2802キロに達し、39分間、933キロの距離を飛んだとしている。周辺国への影響を避けるため、意図的に高い角度をつけて撃ったと主張するとともに、世界各地を攻撃できるとも強調した。
米科学者団体「憂慮する科学者同盟」のデービッド・ライト氏は自身のブログで、通常の角度で発射すれば約6700キロ飛んだと可能性があると指摘。「アラスカ州には届く」とした。韓国の慶南大学極東問題研究所のKim Dong-yub氏は、通常に飛ばせば8000キロ以上の射程があるとする一方、さらに技術的な検証が必要との認識を示す。
北朝鮮の発表を受け、関係各国は収集した情報の解析を急ぐ。日本の防衛省幹部は「ICBMとしての能力を発揮するには、大気圏への再突入を含め、さまざまな技術がそろった兵器体系である必要がある」とした上で、「(昨年1月に実験した)原爆を水爆と言った国なので、慎重な分析が必要だと思っている」と話す。
米軍は発射後まもなく、ICBMではなく中距離弾だったとの初期分析を発表していた。北朝鮮の発表前に記者団の取材に応じた日本の稲田朋美防衛相も、2000キロ超の高度に達し、30分間飛行した5月14日の新型中距離弾か、その派生型との認識を示していた。