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北朝鮮問題をめぐって、G20米中露日韓の温度差

2017年7月10日(月)00時08分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

北朝鮮は旧ソ連が建国した国。1991年12月のソ連崩壊まで、北朝鮮は中ソ対立を利用して漁夫の利を得てきた。核・ミサイル技術も旧ソ連から学んでいる。ミサイルがいつかは北京に向かうだろうことも、中国は予知している。だから、ロシアとの緊密度を北朝鮮に見せつける必要があるのだ。

中露北の三カ国が組んでいるとみなすのは、大きな間違いである。

北朝鮮問題の根源は、1953年7月に結ばれた休戦協定を、米韓が破ってきたことにある。休戦協定では3カ月後に朝鮮半島から他国の軍隊は全て引き揚げると約束して署名したのに、アメリカと韓国は同時に(2カ月後に)米韓相互防衛条約(米韓軍事同盟)を締結して、「米軍は韓国に(無期限に)駐留する」という、完全に相反する条約にも署名した。

冒頭の「双暫定」は、「休戦協定を守れ」という中露の主張でもあると解釈していいだろう。日本人には見たくない事実だろうが、これは客観的事実なので、直視するしかない。着地点の模索は、この「客観的事実を正視する勇気を持つこと」からしか始まらないだろう。

一日でも延ばせば延ばすだけ北朝鮮の核・ミサイル技術は向上し、世界はその脅威のもとで暮らさなければならなくなる。それだけは絶対に避けたい。


endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社、7月20発売予定)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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