北朝鮮問題をめぐって、G20米中露日韓の温度差
4月26日付けのコラム「米が北を攻撃したときの中国の出方――環球時報を読み解く」に書いたように、4月22日付の「環球時報」は、「米軍による北朝鮮への限定的なピンポイント攻撃」は黙認するといった趣旨のことを書いていた。それがロシアと提携した途端、やや後退を見せたのは注目すべきだ。
日中首脳会談では
7月8日に日中首脳会談がG20開催中のハンブルグで行なわれた。韓国に対してさえ、一定程度の笑顔で接した習近平は、安倍首相には「笑ったら損」とばかりに、ニコリともしなかった。そして圧力強化を訴える安倍首相に対して、習近平は遠慮することなく「独自制裁に反対し、対話を重んじる」と主張。しかし少なくとも「朝鮮半島の非核化」に関しては一致した。
米中首脳会談では
日本時間の7月8日夜半に行なわれた米中首脳会談では、トランプ氏が北朝鮮に対する影響力を十分に行使していないという中国への不満を述べ、習近平は対話による解決を重視すべきとした模様だ。雰囲気はにこやかで、第一回目(4月6日、7日)の首脳会談により、「両国は素晴らしい関係を築けた」と互いを礼賛し合っている。
中国政府の通信社「新華社」によれば、習近平は「複雑な世界において、強力な中米関係こそが、安定に資する」と述べたとのことなので、日米両国の、というより「習近平とトランプ」の「個人的蜜月」は、まだ続いているとみていいだろう。
それでいながら習近平はプーチンとは組む。ここが肝心だ。
トランプもプーチンと、もっと「親密」にしたいが、何しろ国内にロシアゲート疑惑を抱えているので、「それとなく」という程度にしか近づけない。ただ、会談に入る前にふと接触した時の二人の顔には、隠しきれない喜びが現れていたと、筆者には映った。
中国の本音と着地点
まず明確に言えるのは、中国は北朝鮮が核保有国になることには絶対に反対だということだ。それを表明するために、習近平政権になってから中朝首脳会談を行っていない。中国からすれば、これほど大きな懲罰はないと言っても過言ではない。
なぜ反対かというと、もし北朝鮮が核を保有すれば、韓国が持ちたがる。そうすれば必ず日本も核を保有するようになるだろうと中国は警戒している。キッシンジャー元米国務長官は「日本は核を持とうと思えば、いつでも持てる」と、1971年以来、中国の指導者に注意を促し続けてきた。中国が最も嫌がるのは、日本が核を持つことだ。
そうでなくとも、北朝鮮自身が軍事大国になることは中国にとっては実に危険なことだと中国は思っている。