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ブレグジット英・EU離脱交渉、双方譲歩なく終了 合意なし離脱懸念でポンド下落
7月20日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る協議は4日にわたる交渉会合を終えた。写真は交渉会合後、記者会見に臨むEUのバルニエ首席交渉官と英国のデービス離脱担当相(2017年 ロイター/Francois Lenoir)
英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る協議は20日、4日にわたる交渉会合を終えた。互いに歩み寄る姿勢はほとんど見せず、EU市民の権利保護などで隔たりが鮮明になったほか、アイルランドと英国との国境問題や離脱に伴う清算金の行方を巡っても不透明感が漂っている。
また、フォックス英国際貿易相が、合意なしで離脱する用意があるとの考えを示したことで、ポンドは急落した。
EUのバルニエ首席交渉官は、英国のデービスEU離脱担当相と臨んだ共同会見で、英国で暮らすEU市民の権利保護について「根本的な相違」があると指摘。EU司法裁判所がブレグジット後も市民の権利を保障すべきと述べた。
一方、デービス離脱担当相は、EUとの国家主権の共有を止めるために、英国民は離脱を決めたとし、司法の管轄は英国側にあるべきだと反論した。
バルニエ氏は、8月に行われる次回交渉ラウンドまで、清算金の支払いに関する英国の立場を一段と明確にするよう要請した。
一方、フォックス貿易相はBBCに対し、英国がEU離脱に合わせて結ぶEUとの自由貿易協定(FTA)について、「人類史上最も容易なものの一つ」になるとの見解を表明。一方で、EUとのFTAがなくても「生き残り」は可能だと主張した。
これを受けて、金融市場では合意なしの離脱を巡る懸念が高まり、ポンドは対ユーロで、8カ月ぶり安値に沈んだ。
ハモンド英財務相は、EUとのFTAが合意できなければ「極めてまずい結果だ」としており、国民投票前からEU離脱を支持してきたフォックス貿易相とは異なる考えを示している。
デービスEU離脱担当相は、英国は「処罰的な合意」は受け入れられないとしながらも、EU側も合意なしの離脱を求めると考える理由はないとした。
6月の総選挙で、メイ英首相率いる与党・保守党が過半数議席を失って以降、政府内の足並みの乱れが露呈している。