最新記事

カナダ

一夫多妻「否定しない」が、25人の妻の男は「有罪」に

2017年7月26日(水)10時22分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

アメリカでは指導者が逮捕

FLDSは、100年前に一夫多妻制など一部の習慣を正式に廃止したモルモン教から破門されたところに始まる。古くからの習慣を存続させたい原理主義の信者らが分離し、FLDSとなった。モルモン教は、原理主義グループとはいかなる結びつきもないことを主張している。

FLDSの名が知られることになったのは、指導者のウォーレン・ジェフズがアメリカで少女と成年男性の結婚仲介や性的暴行の共犯容疑で起訴された2006年。信者が共同生活を送るテキサス州エルドラドの拠点に捜査の手が及び、自給自足など、一昔前のスタイルで生活するFLDSの映像は世界で注目を集めた。

(FLDS信者の女性たち)


カナダにもFLDS信者のコミュニティがあり、ブラックモアとオ―ラーもそこに属している。

ネガティブな印象の情報が多いが、そうでない信者の声を伝える報道もある。実際にウォーレン・ジェフズが逮捕され、服役のために不在となっても、エルドラドの拠点にはFLDSの教えを守り、これまでと変わらない生活を送る信者がいる。

「一夫多妻」を否定したわけじゃない

結局、有罪判決が下された被告は最大で5年の懲役刑が科されることになるわけだが、判決文が興味深い。同最高裁のシェリー・アン・ドネガン判事は、ブラックモア被告の「一夫多妻」について否定はしてはいないとした。「FLDSのしきたりと信教の順守は争点ではない」と述べた。

ブラックモアの結婚についてドネガン判事は「すべての結婚が神聖なものであることを確認した」とも言っている。

判決を受けブラックモアは、宗教は自分と家族にとってとても大切なものであると記者に語った。宗教と憲法という大きなテーマが絡む難題なだけに、今後の動きが注目される。

【参考記事】ロムニー効果でモルモン教に理解広がる?
【参考記事】アメリカを揺るがす同性愛者vs「宗教の自由」

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 9
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中