シリアで米軍機を撃墜すると脅すロシアの本気度
それは逆に、これ以上の対立を避ける試みかもしれないと、レインは言う。対抗措置を約束せず、どうにでも解釈できる表現で威嚇することは、今ロシアの手元にある数少ない切り札の1つだ。「撃墜したところでロシアは1つも目的を果たせないし、シリアで新たな代理戦争を引き起こす恐れがある」
だからといって、ロシアの警告が無害というわけではない。曖昧で大胆過ぎるように思える脅しのレトリックは、ロシア軍が物事を進める常套手段だ、と英シンクタンク王立国際問題研究所のロシア軍の専門家キア・ジャイルズは言う。「相手を脅しつつ曖昧な部分も残し、疑念や不安を抱かせる作戦だ」
【参考記事】アメリカはシリアを失い、クルド人を見捨てる--元駐シリア米大使
有志連合の一角であるオーストラリア軍が上空からの軍事作戦を中止するなど、ロシアの作戦はすでに効果を表している。オーストラリア軍はロシアによる撃墜の意図を示すもっと具体的な情報を入手したのか、単に不確実性が広がったために中止したのかはわからない。いずれにしてもロシアは、シリア上空から有志連合の軍用機を数機、「撃墜」して見せた。
(翻訳:河原里香)
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