中国「工場汚染との闘い」は掛け声倒れ 失望する住民たち
過去9年間で河北省政府に提出された1万1000件近い苦情のアーカイブはオンラインで公開されているが(http://www.hbepb.gov.cn)、そのうち省全域にわたる約700件の苦情が、夜間操業による汚染に関するものであり、その多くが、地元の環境保護当局にはこのような問題への対応能力がないと指摘している。
邯鄲市の党書記であるGao Hongzhi氏は、3月に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開催された際に、夜間の汚染は引き続き問題であり、当局者がその是正に取り組んでいるとロイターに語った。
「規制を気にせず、夜の闇にまぎれて汚染物質を排出するような企業も一部にある」と同氏は語り、市当局は夜間の電力消費を監視して、こうした行為に及んだ企業を突き止めようとしていると語った。
「2014年には100社以上の企業に、この種の問題があったことが判明した。だが昨年はその数が約40社にまで減少した。この問題は非常に重要であり、注意を払っている」
住民によれば、特に過去4年間で付近の村落におけるガンの発症が急増したという。ただし、データの裏付けは提供されなかった。
河北省、邯鄲市、そして地元の郡政府の部局や疾病管理センター、病院に対して、地元のガン発生率や死亡原因についての数値を提供するよう要請したが、回答は得られなかった。
封鎖された幹線道路
2008年以来、館陶化学工業団地は付近の農地を少しずつ買収し、現在では農薬やベンゼンなどの有毒物質を製造するプラントを10施設以上含むようになった。
一部の住民は、汚染のために育たなくなった綿花やサツマイモの栽培を諦めて、別のもっと丈夫な作物に切り替えたと話している。
ロイターの取材陣が夜明け近くにこの地域を訪ねたところ、館陶化学工業団地のプラントは、日中に訪れたときよりも活発に操業しているように見えた。以前は操業していなかった施設から煙がもくもくと立ち上り、化学物質の刺激臭が大気中に漂っていた。
2014年4月には既に、化学工業団地による汚染に対する正式な抗議が省政府に提出されている。
「これが何か役に立つのかどうかは分からないが、一般の人々を代表して抗議を試みる必要がある」と匿名の抗議者は書いていた。