ISISの終焉:支配地域は縮小、資金も枯渇
今回の分析が公表されたのと同じ日、イラク北部モスルを包囲していたイラク軍部隊が、14年7月にISISの最高指導者アブバクル・バグダディが建国を宣言したヌーリ・モスクを制圧した(モスク自体はISISが先週爆破した)。
モスルはイラク国内で唯一ISISが支配する都市で、間もなくイラク国軍が奪還すると見られている。
この8カ月間、モスル奪還作戦を指揮してきたイラクのハイダル・アバディ首相は、今週29日にISISが終焉を迎えたと声明で述べた。「ヌーリ・モスクと(付属する)アル・ハドバの尖塔を奪回したことは、偽りの国の終焉を意味する」
同時にシリアでは、ISISが「首都」と称する東部の都市ラッカで、シリア民主軍(SDF)と呼ばれるクルド・アラブ連合部隊が掃討作戦を続けている。シリアに広範な情報源を持つ英人権監視団体「シリア人権監視団(SOHR)」は、本誌取材に対してラッカが「完全に包囲された」と語った。
電話取材に応じたSOHRのラミ・アブデルラーマンは、「(SDFが)全方向からISISを包囲している。もう逃げ場はない」と話している。
【参考記事】米国はシリアでイスラーム国に代わる新たな「厄介者」に
SDFは、ISISの戦闘員が避難するために使っていたラッカ南方の2つの村を占拠し、これによってラッカは完全に包囲された。
ラッカ攻略は今月6日に始まり、その後の3週間でSDFはラッカ近郊の4分の1を占拠した。
この7月で4年目を迎えるISISに未来はない。前述のストラックによれば、イラクとシリアに点在する支配地域も、ISISが拠点都市を失えばいずれ制圧される。
「ISISの残りの支配地域も今後1年以内に解放されるだろう」とストラックは見ている。「分断された一部の都市でISISの統治が続いても、2018年には消滅する」