アジアに迫るISISの魔手 フィリピン・ミンダナオ島の衝撃
軍によれば、戦闘によって20人の民間人が犠牲となった。いずれも戦闘員に拘束されていた人々だという。また、武装勢力の死者は120人、治安部隊の死者は38人に上り、そのうち10人の兵士は友軍の誤爆による死亡だったという。
「殺されると予想」
隣国インドネシアの当局者は、フィリピンが短期間でマラウィの奪還に成功したとしても、依然として大きな脅威にさらされるだろうと憂慮する。
「武装勢力がこちらに来るのではないかと心配している」とインドネシアのテロ対策当局者は語り、ミンダナオ島がインドネシアのスラウェシ島からさほど離れていない点を指摘する。
マラウィ中心部にはまだ2000人以上の住民が取り残されており、電気も使えず、食料や水も乏しい状況だ。住民によれば、軍と武装勢力が交わす銃撃で身動きの取れない者もいれば、脱出を試みたとしても武装勢力に阻止されるのではないかと恐れている者もいるという。
頭部を撃たれた8人の労働者の遺体が先月28日、マラウィ市外の渓谷で発見された。警察によれば、市内から脱出しようとして武装勢力に阻止された人々だという。
軍によれば、マラウィ奪還には、さらに民間人の犠牲者が出る可能性が高いという。
「人々は飢え、傷つき、殺されるだろうと予想している」と軍広報官のヘレラ中佐は言う。「この種の作戦では、巻き添え被害を100%防ぐことは不可能だ」
(翻訳:エァクレーレン)
[マラウィ市(フィリピン) 3日 ロイター]