中国の自転車シェアリング大手、世界へ拡大 7月には日本にも
フォーブスによると、中国での自転車シェアリングはMobikeとOfoがほぼ二分しており、両社ともに市場価値は10億ドル(約1110億円)以上。30分をわずか0.5元(約8円)ほどで貸し出しているが、広州の自転車シェアリングの市場規模は今年103億元(1,680億円)に達すると予測されており、2019年には237億元(約3,860億円)に成長するとみられている。同記事は、Mobikeに投資する1社チーミン・ベンチャー・パートナーズ(啓明創投)の投資家の話として、「これほど爆発的に成長する企業は他になかなか見つからない」との談話を紹介している。
Ofoもヨーロッパへの進出を予定しており、これに先駆け4月にはケンブリッジで試験的に運営を開始している。
フィナンシャル・タイムズは3月の記事で、世界の都市における自転車シェアリングの規模を比較した図を掲載していた。上海が45万台で最大となり、次いで北京、深圳、広州(10万台で同率2位)、ロンドン3位(1.36万台)、ニューヨーク4位(1万台)と続く(ただし、上海は全運営会社の自転車数合計で、他都市は主要1社の自転車数)。
溢れる自転車に規制の動き
自分の自転車であれば、乗っていったら必ず乗って帰ってこなくてはならないが、自転車シェアリングなら、行きは自転車で、帰りは疲れたから電車、という使い方ができて便利だ。しかしガーディアンが3月に掲載した記事は、特に広州を例に挙げ、地下鉄駅前やショッピングモール近くの路地が放置自転車で溢れるといった問題が起こっていると指摘している。放置された自転車の中には、サドルがなくなっていたり、鍵が壊れていたり、QRコードが削り取られていたりと、使えなくなってしまった自転車も少なくないようだ。
また、人民日報の国際版『環球時報』は3月、「自転車はもうたくさん」という見出しで、路上に溢れる自転車に嫌気が差した上海市交通委員会が、MobikeやOfoを含む自転車シェアリングの運営会社6社にこれ以上自転車を路上に出すなと勧告したと伝えていた。自転車シェアリング産業に自治体レベルで何らかの規制を設ける動きは、中国全土に広がっている。
中国の自転車シェアリング企業が海外に目を向け始めたのは、このような背景もあるのかもしれない。上記の都市別シェア自転車台数ランキングには日本の都市が全く入っていないのだが、都内6区で自転車シェアリングを運営しているドコモが2016年4月に発表した時点では、都内6区での自転車台数はわずか1760台だった。つまり、海外での成長に視線を注ぐ中国企業にとって、日本は未開拓の市場と映るかもしれず、Mobikeに続いて他社が参入してくる可能性もある。
国土交通省の資料によると、日本では87都市でコミュニティサイクルが導入されている。都内では、2020年の東京オリンピックに向け自転車レーンの整備も進んでおり、海外からの参入も追い風に、自転車シェアリングが活用される場面も増えていきそうだ。