イラン保守強硬派、抵抗継続へ 穏健ロウハニ大統領と対立激化か

5月19日、イラン大統領選は、穏健派で現職のロウハニ師が再選を決めたが、保守強硬派は敗北の借りを返そうとロウハニ師の政策に抵抗し続けるとみられ、両者の対立が激化しそうだ。写真は、ロウハニ師のポスターを掲げる支持者。テヘランで20日撮影。提供写真(2017年 ロイター/TIMA via REUTERS)
19日のイラン大統領選は、穏健派で現職のロウハニ師が再選を決めた。しかし保守強硬派は敗北の借りを返そうとロウハニ師の政策に抵抗し続けるとみられ、両者の対立が激化しそうだ。
ロウハニ氏は経済面で若者のチャンスを増やし、国民の自由を広げるといった公約を掲げて勝利。選挙戦では最高指導者ハメネイ師とつながりの深い保守強硬派と公の場で議論を戦わせ、対立候補であるライシ前検事総長に彼らが便宜を図っていると批判した。
イランの治安組織である革命防衛隊(IRGC)が、ロウハニ師から受けた激しい批判を忘れることはないだろう。ロウハニ師は選挙戦で、保守強硬派は「舌を切り取り、口を縫い留める」と攻撃した。
ヘルツリーヤ学術センターの専任講師、Meir Javedanfar氏は「ロウハニ師に対する圧力は2期目になって強まるだろう。革命防衛隊などイランに深く根差した組織がロウハニ師にとってより厄介な問題を生み出す」と予測。「イランの保守強硬派は1979年の革命以来、政治的な敗北を喫するたびに、その恨みを晴らそうとしてきた」という。
革命防衛隊が国内の優位を取り戻すため、イラクやシリアなどに武装した隊員を送り、海外での対立を煽る可能性もある。
Javedanfar氏は「中東湾岸地域における革命防衛隊との政策対立が深刻化し、米国やサウジアラビアとの間でも衝突が深まるのではないかと危惧している」と話した。
ロウハニ師の側近は、同師は政策遂行に不可欠な手立てをまだ失っていないとみている。ロウハニ師は権力階層の上位に位置し、最高指導者ハメネイ師と数十年にわたり行動を共にしてきた。
ロウハニ師に近い当局者は「経済はハメネイ師にとって最優先課題だ。そのためハメネイ師は、西側諸国などとの核合意を慎重ながらも支持したように、ロウハニ師の経済自由化政策に対しても限定的ながら支持を与えざるを得ないだろう」と述べた。