孤立深まるトランプ政権 共和党議員も距離置き始める
数百のポストが空席
トランプ政権は未だに数百の上席ポストを埋められずにおり、次々と持ち上がる問題に孤軍奮闘するしかない状態だ。
司法省や国土安全保障省、教育省で重要ポストが空いている。教育省の高官は「いつになったら空席が埋まるのか、そもそも近い将来に埋まるのか、だれにも分からない」と嘆く。
国務省の最重要級ポストも多くが空席のままだ。複数の高官によると、このためトランプ氏とプーチン大統領との電話会談でも、トランプ氏が機密情報を漏らしたとされるロシアのラブロフ外相らとの会談でも、同省の専門家が背景説明の役割を果たすことはほとんどなかった。
国務省と諜報関連の高官らによると、権力が一握りのトランプ氏側近にますます集中しており、過去の政権に比べて外交や諜報専門家の役割がしぼんでいる。
例えば米外交官2人によると、2月15日のトランプ氏とネタニヤフ・イスラエル首相との会談には、国務省関係者が一人も同席しなかった。過去の政権とは様変わりだ。
国務省報道官はロシア高官との会談についてコメントを避けたが、ネタニヤフ氏および中東との関連については「国務省が関与していないとの主張には根拠がない」と述べた。
全体では、上院の承認が必要な連邦政府ポスト557のうち、500以上が空席となっている。
不満募らせる共和党議員
ここ1週間で危機が次々と浮上したにもかかわらず、ホワイトハウスから連絡がないことに多くの共和党議員は不満を募らせている。
ロシア疑惑について独自の調査を進める上院情報特別委員会のリチャード・バー委員長は不満を隠さない。
トランプ氏が機密情報を漏らしたとの報道が出た翌日の16日朝、バー氏はホワイトハウスと連絡が取れないことを明かし、「たぶん忙しいのだろう」と皮肉った。
ひっきりなしにロシア疑惑捜査への対応に追われ、党員集会で課題に集中できないとこぼす共和党議員もいる。
ある関係者がロイターに語ったところでは、政府から何の指針も示されないため、議会の共和党スタッフは悪いニュースへの対応策を独自に策定し始めた。
ホワイトハウスでは、大統領を擁護する人がどんどん少なくなり、上席スタッフが暴露報道の嵐だけでなくツイッターで時に矛盾する発言を繰り返す大統領への対応に追われている。
ホワイトハウスのある側近は「だれもが疲れ切っている」と語った。
(James Oliphant記者)
