中国発バナナラッシュ 農業基地となったラオスが得たカネと代償
中国外務省の耿爽報道官は11日の定例記者会見で、ラオスの中国系バナナ農園を巡る具体的な問題は承知していないとした上で、これを「一帯一路」構想と関連づけるべきではないと述べた。
「原則的に、われわれは海外投資や事業を行う中国企業に対し、現地の法律や規則を尊重し、社会的責任を果たし、現地の環境を守るよう義務付けている」と同報道官は述べた。
ラオス農林省は、この記事についてのロイターの取材に現段階で応じていない。
中国国営メディアによると、人口650万人を抱える内陸国ラオスにおいて中国は最大の投資国であり、総額67億ドル(約7621億円)に上る760件以上の投資プロジェクトを手掛けている。
この影響が強く感じられるのは、中国資本がショッピングセンターを建設し、高級ホテルを運営する首都ビエンチャンだけではない。何十年ものあいだ目立った変化がなかった農村部にもその影響は及んでいる。
バナナラッシュ
中国人のバナナ投資家が、本国の土地不足のため、国境を越えてラオスに流れ込み始めたのは、2010年頃だったと現地の人々は記憶している。その多くが、この国で人口が最も少なく、面積も狭いボーケーオ県に向かった。
その後の数年間で、ラオスのバナナ輸出は10倍に跳ね上がり、同国にとって稼ぎ頭の輸出品となった。その大半が中国に送られている。
Kongkaewさんのようなラオ族にとって、中国系農場は、自分で土地を耕作して得るよりも多額の賃料を支払ってくれた。
モン族やカム族のような高地に住む貧しい少数民族にとって、バナナラッシュは、より良い賃金を意味した。
収穫期には、一日10ドルかその倍を手にすることができる。2015年の平均年間所得(世界銀行調べ)が1740ドルのラオスでは、相当な高給だ。