ウーバーで発覚した新たな「女性問題」
タクシーより便利と人気のウーバーだが、社内の問題が次々と明るみに diego_cervo/iStock.
<男性ドライバーを発奮させようと男性社員が女性を装い業務連絡するあきれた手法が発覚>
米配車サービス大手のウーバーと言えば、セクハラ(性的嫌がらせ)や性差別がはびこっているという元従業員からの告発が相次ぎ、女性が尊厳を持って仕事をしたり出世したりすることが難しい会社というイメージが強まっている。
だがそんなウーバーにも、ハッピーに働いている「女性社員」が数人いたらしい。問題はこの社員たちが本物の女性ではなく、契約運転手たちをせっせと働かせるために女性のふりをした男性だったということだ。
ニューヨーク・タイムズ紙は先頃、ウーバーの男性社員が契約運転手の心理を操作するために女性のふりをしていたことや、客の多い時間帯に運転手が長時間、働くよう仕向けるためのアプリ改変を行っていたと報じた。
ウーバーでは、利用者が特に多い時間帯や地域があると、テキストメッセージや電子メールを使って契約運転手に出動を呼び掛ける。そこで一部の男性社員が、女性のふりをしてメッセージを送ったのだという。
【参考記事】ウーバーはなぜシリコンバレー最悪の倒産になりかねないか
ダラスで契約運転手のマネジメントを担当していたある男性社員は「ローラ」という偽名で運転手たちにメッセージを送っていた。「ねえ、コンサートがもうすぐ終わるからそっちに向かってね」といった具合だ。
ダラスでウーバーと契約している運転手はほとんどが男性だったと、この男性社員は語っている。つまり男たちは、女性社員が相手だと喜ばせたり気を引きたいと思う半面、男性社員の頼みには冷たいというわけだ。
これは1人の社員が思い付きで始めた工夫ではなく、企業ぐるみの方針だった。「女性のほうが運転手のやる気を引き出せることを実験で確かめていたと、ウーバーは認めた」とニューヨーク・タイムズは伝えている。
アップルのSiri(シリ)やマイクロソフトのコルタナといった大手企業の音声認識アシスタントの声はいずれも、初期設定では女性になっている。おそらく、女性のほうが当たりが柔らかで協力的で、縁の下の力持ち的な仕事をやることが多いという印象があるからだろう。ウーバーはそうした思い込みを、運転手の勤労意欲を高めるのに使ったわけだ。