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東電が新再建計画 送配電・原発で10年以内の再編・統合を明記

2017年5月11日(木)20時08分

5月11日、東京電力ホールディングスと原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、新しい再建計画の申請内容を公表した。2019年度以降に柏崎刈羽原発が再稼働するのを前提にした6通りの収支計画を示した。写真は都内で昨年3月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

東京電力ホールディングス <9501.T>と原子力損害賠償・廃炉等支援機構は11日、新しい再建計画を政府に申請し、内容を公表した。福島第1原発事故で東電が担う資金を確保するために、今後10年以内に送配電や原子力事業の他電力との再編・統合を目指すと明記した。

また、収益改善の鍵を握る原発再稼働については2019年度以降に柏崎刈羽原発が再稼働するのを前提にした6通りの収支計画を示した。同再建計画の改定は2014年1月以来で「第3次計画」という位置づけになる。ただ、再編、再稼働とも現状は厳しい見通しで、新計画の実現性の面で多くの不確定要素を抱えている。

収支計画は原発再稼働が前提

新再建計画では26年度までの収支計画を示した。原子力規制委員会による審査中の柏崎刈羽6、7号機が19年度、20年度、21年度までにそれぞれ再稼働することが前提だ。

19年度と20年度に再稼働した場合、その後、4基か7基が順次動くケースと、21年度に再稼働し4基か6基が動く場合の収支を示した。

19年度に再稼働し全7基が動く場合は24年度から26年度までに2400億円前後の経常利益を想定する。21年度に再稼働し4基稼働した場合、25年度で約2500億円の経常利益を確保するとしている。

記者会見した東電の広瀬直己社長は原発再稼働について「このまま柏崎刈羽7基が廃炉になることはないと思っている。安全を保った上で地元の理解を得ることが大事だ」などと述べた。

企業価値向上で「再編」必須に

昨年末、経済産業省が取りまとめた「東電改革提言」では、福島第1原発事故に伴う賠償、廃炉、除染の費用が従来想定から倍増の約22兆円に上るとの試算を示した。このうち、東電が負担する金額は約16兆円とされた。

16兆円の内訳は、廃炉に8兆円、賠償で4兆円、除染で4兆円。このうち廃炉と賠償に係る分は東電が毎年の収益で約5000億円を確保し、除染にかかる4兆円は、政府が原賠支援機構を通じて東電に注入した1兆円の公的資本を将来的な東電株の売却を通じて捻出しようというものだ。

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