最新記事

フランス

マクロンが仏大統領決選へ、ポピュリズムの波は消滅か

2017年4月25日(火)12時27分

マクロン氏の対EU方針の根幹にあるのは、フランスがドイツほどの信任を取り戻すには、自国経済を改革する必要があるという信念だ。ユーロ圏の改革や防衛、移民政策での連携強化などを巡り、ドイツと包括的な合意を結ぶことを望んでいる。

マクロン氏は今年2度ベルリンを訪問し、3月にはメルケル独首相と会談している。マクロン氏の欧州問題顧問らによると、彼が大統領に就任すれば、9月のドイツ総選挙を待たずに同国政府とEU改革の日程を協議し始める見通しだ。

顧問の1人で外相候補と見られているシルビー・グラール欧州議員は「我々は選択肢のリストを持ってドイツに行く」と述べた。

マクロン氏は、ユーロ圏の救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)の改造を支持しており、これにはドイツ政府にも同調者がいる。マクロン氏は、ユーロ圏の予算・財務大臣を設ける案も支持しているが、こちらの構想はメルケル氏周辺であまり人気がない。

「マクロン氏が大統領に選出されれば、二度とないかもしれないほどの歴史的な機会が訪れる」と語るのは、ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、ジェロミン・ゼトルマイヤー氏だ。

「マクロン氏が正しいやり方で真面目なユーロ圏改革を持ちかければ、ドイツとしても関与しないのは非常に難しくなる。つまり、フランス国内をまず改革した上で、EUが移転同盟(資金を加盟国から別の加盟国に移転するだけの同盟)と化してしまうのを防ごう、とドイツに迫るのだ」とゼトルマイヤー氏は話した。

(Noah Barkin 記者)



[パリ 23日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EU、Temu・SHEINに販売責任 安価で危険な

ビジネス

独プラント・設備受注、昨年8%減 2年連続のマイナ

ビジネス

日産、ホンダとの統合協議を白紙に 取締役会が方針確

ワールド

中国外務省、EUに協力呼びかけ 「世界的な課題」巡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 2
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 6
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 7
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中