マクロンが仏大統領決選へ、ポピュリズムの波は消滅か
マクロン氏の対EU方針の根幹にあるのは、フランスがドイツほどの信任を取り戻すには、自国経済を改革する必要があるという信念だ。ユーロ圏の改革や防衛、移民政策での連携強化などを巡り、ドイツと包括的な合意を結ぶことを望んでいる。
マクロン氏は今年2度ベルリンを訪問し、3月にはメルケル独首相と会談している。マクロン氏の欧州問題顧問らによると、彼が大統領に就任すれば、9月のドイツ総選挙を待たずに同国政府とEU改革の日程を協議し始める見通しだ。
顧問の1人で外相候補と見られているシルビー・グラール欧州議員は「我々は選択肢のリストを持ってドイツに行く」と述べた。
マクロン氏は、ユーロ圏の救済基金である欧州安定メカニズム(ESM)の改造を支持しており、これにはドイツ政府にも同調者がいる。マクロン氏は、ユーロ圏の予算・財務大臣を設ける案も支持しているが、こちらの構想はメルケル氏周辺であまり人気がない。
「マクロン氏が大統領に選出されれば、二度とないかもしれないほどの歴史的な機会が訪れる」と語るのは、ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、ジェロミン・ゼトルマイヤー氏だ。
「マクロン氏が正しいやり方で真面目なユーロ圏改革を持ちかければ、ドイツとしても関与しないのは非常に難しくなる。つまり、フランス国内をまず改革した上で、EUが移転同盟(資金を加盟国から別の加盟国に移転するだけの同盟)と化してしまうのを防ごう、とドイツに迫るのだ」とゼトルマイヤー氏は話した。
(Noah Barkin 記者)