最新記事

携帯電話

日本で鍛えられた「中華スマホ」の代表格ファーウェイ

2017年4月18日(火)18時27分
佐野正弘(モバイルジャーナリスト)※東洋経済オンラインより転載

イー・モバイルでの成功を機に、ファーウェイはほかの日本の大手携帯会社にも端末の供給を開始した。だがその多くは、Wi-Fiルーターや通信機能がついたフォトフレーム、子供やシニア向けの音声通話端末など、機能的にシンプルなものだった。より高度な機能を持つスマホの供給にはなかなか至らなかったのだ。

品質の問題から、なかなか定着できず...

ようやくスマホを供給する機会を得たのは2012年のこと。NTTドコモから、ワンセグやFeliCaなどにも対応した高機能スマホ「Ascend HW-01E」を発売した。高機能ながら低価格と、コストパフォーマンスの高さが注目されたが、品質にややバラツキがあり、ユーザーから高い評価を得ることはできなかった。

さらに挑戦は続く。翌年発売された「Ascend D2 HW-03E」は、当時としては国内最速となる下り最大112.5Mbps(メガビット毎秒)に対応し、防水・防塵機能を搭載するなど一層の高機能化が進められた。しかし、発売は当初の予定より約1カ月遅れるなど、決して成功したとは言いがたい状況だったのである。

toyokeizai170418-2.jpg

2013年にドコモから販売された「Ascend D2 HW-03E」。高い性能が注目されたが、発売は当初予定より約1カ月遅れてしまった(著者撮影)

このような大手携帯会社との取り組みから、ファーウェイは日本における端末の品質管理の重要性を学んだ。そしてその品質管理に一層力を注ぐようになったという。

一方で、同社はこの頃、スマホ戦略を大きく転換することになる。2014年ごろから格安スマホの注目度が急速に高まったことを受け、細かなカスタマイズが要求される大手携帯会社向けから、独自のビジネスがしやすいSIMフリー市場向けを重視するようになったのだ。

2014年6月に「Ascend G6」を発売したのを皮切りに、ファーウェイはスマホやタブレットを次々と投入していった。

中でも同年12月に発売されたフラッグシップモデル「Ascend Mate7」は、6インチのディスプレイに当時としては高性能のCPU、さらにまだ搭載機種が少なかった指紋認証センサーを備えた。高い機能・性能を誇りながらも当初は4万9800円と、非常にお得な価格設定がなされたことで注目を集めた。

toyokeizai170418-3.jpg

「Ascend Mate7」のお披露目は、モーニング娘。OGの保田圭さん、石川梨華さん、吉澤ひとみさん、小川麻琴さんが登場する豪華なものだった(著者撮影)

ファーウェイは世界中でスマホを販売し、ハイエンドからローエンドまで幅広いラインナップを持つ。加えてスケールメリットにより、高性能・高品質な端末を比較的安価に提供できる。そうした強みを生かして積極的にSIMフリー市場の開拓を進める戦略に出たのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相、トランプ氏との電話会談を模索 米関税巡り

ビジネス

焦点:関税の次は金融か、トランプ氏の次の一手に戦々

ビジネス

英建設業PMI、3月46.4 土木が不振

ビジネス

英BPルンド会長、26年退任か エリオットは株主と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 2
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 5
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 6
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 7
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世…
  • 8
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 9
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中