日本で鍛えられた「中華スマホ」の代表格ファーウェイ
「ローカライズ」が最大の課題だった
それでも、ユーザーの確固たる支持を得ることができない。むしろ台湾・エイスースなど後発メーカーの躍進を許すこととなってしまった。
その最大の理由はローカライズ(地域のニーズに合わせて改良すること)にある。ファーウェイはまだ規模が小さい日本市場に向けたカスタマイズに積極的でなく、グローバルモデルをほぼそのまま持ち込み、ローカライズもその国の言語に対応することくらいしか行わなかった。
当時大きな問題に発展したのが、ドコモの保有する周波数帯「800MHz(メガヘルツ)帯」に端末が対応していなかったことだ。この周波数帯は「プラチナバンド」と呼ばれ、地方や山間部のエリアカバーにフル活用されている。だが、この周波数帯は海外であまり使われていないことから、ファーウェイは対応に消極的だった。
このことは「日本全国で快適に使えないのではないか」という懸念を呼び、ユーザーからの評価を大きく落とす要因となった。
ようやくファーウェイが800MHz帯の重要性を認識し、対応を進めたのは2015年発売の「HUAWEI P8lite」「HUAWEI P8Max」からだった。周波数帯の面でライバルメーカーに追いついたことで、純粋に端末の品質や機能・性能が評価されるようになり、ファーウェイ端末の人気は急速に高まったのである。
そして先に述べたように、2016年には「P9」など数多くのヒットを飛ばし、ユーザーの支持を獲得。日本市場に定着しつつあるというわけだ。
国内外で追い風、スマホ市場を席巻できるか
ファーウェイの躍進はしばらく続きそうだ。今年2月、スペインの携帯通信関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス」でP9の後継機種となる「HUAWEI P10」を発表し、こちらも高い評価を得るなど、世界的に注目度が高まっている。
加えて日本国内でも、低価格志向の強まりによって格安スマホを利用するユーザーが増えており、SIMフリースマホ市場全体の成長は力強いものがある。
紆余曲折を経ながらも、地道に日本市場との「対話」を続けてきたファーウェイ。国内外からの追い風を受け、その勢いは今後一層強まるといえそうだ。