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世界保管計画「世界の終末」に備えたデータ保管庫、ノルウェーの永久凍土に開設
スヴァールバル世界種子貯蔵庫 Heiko Junge-REUTERS
<北極圏の島に、世界各国の貴重なデータを500年以上保存することを目的とするデータ保管庫がオープン。この島では既に100万種近い植物の種を保管している>
ノルウェー領スヴァールバル諸島最大の島、スピッツベルゲン島。北極圏にあり、永久凍土が広がるこの島は、100万種近い植物の種を保管する「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」で最もよく知られる。この地に最近、世界各国の貴重なデータを500年以上保存することを目的とするデータ保管庫がオープンした。"世界最後の日に備えた書庫"として、科学系ウェブメディア「ライブ・サイエンス」などが紹介している。
デジタルデータをアナログメディアに保存
「Arctic World Archive」(北極圏の世界アーカイブ)と名付けられたこのデータ保管庫は、ノルウェー企業Piql(ピクル)が主導するプロジェクト。同社が公開した資料によると、このアーカイブはテキストから画像、動画や音声までさまざまなデジタルデータに対応。顧客から委託されたデータをオープンソースの標準保存形式に変換してから、独自技術の感光フィルムに記録し、最新のセキュリティー策を施した地下の保管庫に収められるという。同社はライブ・サイエンスの取材に応え、「保存されたデジタルデータを、感光フィルムに書き込む。巨大なQRコードをフィルムに書き込むようなものだ」と説明している。
アーカイブに保存されたデータは、顧客がネット経由で検索可能。ソースコードに人間が読めるテキストと、汎用のファイル形式により、将来的にも特定のOSやメーカーに左右されずアクセスできる。Piqlは、フィルムの耐久試験の結果、少なくとも500年間は保存可能で、最長で1000年間保存できるかもしれないと主張している。
ライブ・サイエンスの記事によると、これまでのところ、ブラジルとメキシコの2カ国からデータが送られたとのこと。ブラジルは同国憲法を含むさまざまな史料、メキシコはインカ時代にまでさかのぼる貴重な歴史的記録をそれぞれ保存するという。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫とは
データ保管庫に先行するスヴァールバル世界種子貯蔵庫は、2008年に操業開始。デンマーク人植物学者ベント・スコウマン氏が提唱し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団など援助を受けてノルウェー政府が完成させた。保存されている種子の種類は、当初の約18万7000種から、2017年2月の時点で93万種を超えたという。
なぜ北極圏の島にこのような保管庫が作られるのか。最大の理由は、1920年に締結されたスヴァールバル条約により、同諸島が加盟国の自由な経済活動が認められた非武装地帯になっているからだ。この条約の原加盟国は欧州主要国や日米など14カ国。その後中国やロシアも批准し、現在は40カ国以上が加盟している。