ブレグジットでEUが経験する「5つの変化」
英国のロシアに対する強硬路線は、バルト諸国やオランダのような友好国から支持を得ている。これらの国々は、フランスやイタリア、そして恐らくドイツによる弱腰な態度が、対ロシア制裁やロシア産ガスへの依存を削減することに対するコンセンサスを損ねることを危惧している。
<政治文化:ブレグジット万歳か>
EU機関で働く英国人職員は、その人数は十分ではないものの、上級職においてだけでなく、欧州議会においても、過去44年間にわたって主な役割を築いてきた。離脱により、EUの職から英国人が締め出されることとなり、それも失われることになる。
多くの政府、とりわけ小さな国の政府は、EU創設にあたりフランスが持ち込んだ中央集権的で統制経済的な伝統よりも、実用主義的で自由競争主義的な英国のやり方を評価している。
英国は1つの遺産を残すことになるだろう。それは、EUの実用言語として英語が生き残る可能性が高いからだ。とはいえ、フランス政府の一部からはフランス語の復活に期待する声も上がっている。
<生き残りゲーム:タブー破り>
EU離脱の是非を問う住民投票が英国で実施されて以降、EU指導者たちは、残りの27カ国における新たな団結を呼びかけている。各世論調査では、市民たちのEU支持率は概ね上昇している。しかし、各国政府が異なる優先事項を抱えるなか、英国との離脱交渉によって、そうした団結がまさに試されることになるだろう。
前例のないEU基本条約(リスボン条約)第50条の発動はこれまでのタブーを破り、「分かたれることのない連合」への祈りはむなしく響いている。EUは今後も離脱の脅威に取り組まねばならず、それは全体的な意思決定に影響を与え続けるだろう。
(Alastair Macdonald記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
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