トランプの「反・温暖化対策」に反対する意外な面々
ダコタ・アクセス・パイプラインの建設推進を決めたトランプに対する抗議デモの一幕(ワシントン、3月10日) Kevin Lamarque-REUTERS
<28日、オバマ前政権の環境政策を全面的に見直すよう命じる大統領令に署名したトランプ。しかし「環境より経済」を掲げるトランプに対し、米経済界から反発の声が上がっている>
ドナルド・トランプ米大統領が3月28日、アメリカの地球温暖化対策にとって大きな転換点となる大統領令に署名した。バラク・オバマ前大統領が2015年に策定した「クリーン・パワー・プラン」などの環境政策を全面的に見直すという命令だ。
世界2位の温室効果ガス排出国であるアメリカが、いよいよ本腰を上げ、火力発電所からの二酸化炭素排出を規制すると打ち出したのが同プラン。アメリカは温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に参加しており、2025年までに2005年比で26~28%の排出量を削減することになっていた。今回の大統領令により達成の見込みはほぼなくなるとみられている。
温暖化はでっち上げとも言っていたトランプは「環境より経済」を掲げ、選挙戦ではパリ協定からの脱退も示唆していた。1月下旬にも、カナダからアメリカに原油を輸送するダコタ・アクセス・パイプラインの建設計画を推進する大統領令に署名している。環境保護の観点からオバマ政権がストップをかけていた計画だ。
【参考記事】トランプ、想像を絶する環境敵視政策が始まった──排ガス規制の米EPAに予算削減要求とかん口令
しかし今回、意外なところから反発の声が上がっている。米経済界だ。
「温暖化はパリ協定のような多国間合意により世界規模で取り組むべき問題だと考えている」と、米経済界を代表する1人であるGEのジェフリー・イメルトCEOは29日、社内向けのブログに書いた(ブログ投稿を入手したポリティコが報じた)。「アメリカがこれからも建設的な役割を果たすことを願っており、GEはテクノロジーと行動を通じてこの取り組みをリードしていく」
イメルトによれば、地球温暖化は「広く認められた」科学であり、この問題に対処する環境技術は、環境保護だけでなく企業利益の点からも理にかなっている。
GEだけではない。米大手食品会社のマース、オフィス用品の全米チェーンであるステープルズ、衣料品の世界大手GAPなどが、英ガーディアンの取材に大統領令への反対を表明している。「トランプ政権がクリーン・パワー・プランのような規制を後退させる決断をしたことに失望している」と、マースの広報幹部エドワード・フーバーは言う。