株価が割安かどうかを見極める指標の「三角関係」
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<PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)は株価を調べる際の指標として有名だが、第3の指標ROE(自己資本利益率)との関係も見ることで、違った側面が見えてくる>
株価を調べる際の指標で最も有名な「PER」と「PBR」は、投資家にとってのいわば「共通言語」。しかし実は、うまく利益に結び付けられていない人も多いのではないでしょうか? 重要なのは、数字の裏側にある"真実"を見極めること。第三の指標「ROE」との関係から見ると、それぞれ単独で見たときとは違う側面が見えてきます。
PER・PBRとは?
■利益から割高・割安を判断するPER
PER(Price Earnings Ratio=株価収益率)とは、株価と企業の収益力とを比較することで、株価が現在どのくらいの水準にあるのかを測る指標です。利益(フロー)の面から見て、現在の株価が割高なのか、それとも割安なのかを判断する材料になります。
PER=株価÷1株あたりの当期純利益(EPS)
ここでEPS(1株あたりの当期純利益)が出ましたが、これは企業が1年間に1株あたりいくらの利益を稼いだかを表したものです。
EPS=当期純利益÷普通株式の期中平均発行済株式数
PERは、上の数式からもわかるとおり、現在の株価が「EPSの何倍か」を表します。ある企業の収益が一定だと仮定するならば、投資した金額を回収するのに何年かかるかのメドがわかる、ということです。たとえば現在株価が2,000円だとして、EPSが100円であれば、PERは20倍。したがって、当初の投資額2,000円は20年で回収できる計算になります。
■PERで同業他社との比較もできる
PERが高ければ利益に比べて株価が割高で、低いほど株価が割安であることを示します。一般的には、PER15~17倍程度が妥当だといわれています。また、同業他社と比較することでも、割高・割安を判断することができます。
たとえば、株価が2,000円のA社と、株価が1,000円のB社があるとします。2社ともにEPSは同じ100円だった場合......
A社:株価2000円÷EPS100円=PER20倍
B社:株価1000円÷EPS100円=PER10倍
PERを比較することで、同じEPS100円ならB社のほうが割安だと判断できるのです。
このようにPERは、他の銘柄との比較によって、株価の割高・割安を判断するための指標となります。ただし、成長性の高い人気のある銘柄ほど株価が上がり、PERは高くなる傾向にあります。
■資産から割高・割安を見極めるPBR
もうひとつの指標であるPBR(Price Book-Value Ratio=株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表した指標です。企業の資産面(ストック)から、企業価値に見合った株価かどうかを判断するのに役に立ちます。
PBR=株価÷1株あたり純資産(BPS)
ここではBPS(1株あたり純資産)が出てきました。これは、1株あたりの純資産の金額のことで、会社の総資産から負債を引いた金額である純資産を発行済株式数で割ったものです。企業が会社を清算した場合、投資をした投資家の手元に残る価値はいくらになるのかを表しています。
BPS=純資産÷発行済株式数
PBRが1倍なら定価どおりで、現在の株価と会社の清算価値が一致していると言えます。そのため理論上は、PBR1倍が株価の下値のメドになります。つまり1倍割れであれば、株価は割安であるという判断ができます。ただし、定価以下ということは、経営に問題があるなど、なんらかの原因がある可能性があるので、注意が必要です。