最新記事

投資の基礎知識

未来のアップルを探せ! 成長株を見極める5つのポイント

2017年2月8日(水)20時10分
岡田 禎子 ※株の窓口より転載

米サンタモニカのアップルストア ViewApart-iStock.

<世界中の投資家が「未来のアップル株」を探している。今後も持続的な高成長が期待される銘柄を一体どうやって見つけるのか? 情報サイト「m3.com」を運営するエムスリーなどを例に説明すると>

「人生はチョコレートの箱のようなものだ。開けてみるまで中身はわからない」――これは、1994年公開の映画「フォレスト・ガンプ」に出てくる言葉です。自分の運命に迷う主人公に、死を間際にした母親が「自分の運命は自分で決めるのよ」と、この言葉を残します。

その後、主人公のフォレスト・ガンプは、元上司が彼のお金を「果物の会社」に投資してくれたことで、一生食べるお金に困ることはなくなります。そして、母の教えにしたがって生きる道を探し続けるのですが、この「果物の会社」こそ、いまや世界最大規模の時価総額を誇るアップル社です。

ウォーレン・バフィット、ピーター・リンチ、フィリップ・フィッシャーなど世界の名だたる投資家たちは、アップル株のような「成長株」への長期投資の成功により、その名声と財を築きました。いまこの瞬間も、世界中の投資家が「未来のアップル株」を探しています。成長株への投資は、とくに大口の投資家にとって、まさに「王道」の投資方法なのです。

成長株とは?

一般的に、その企業の成長テーマや経営戦略、同社が狙うマーケットの成長性などから判断して、今後も持続的に高成長することが期待される銘柄を「成長株(グロース株)」と言います。

成長株投資とは、企業の成長とともに株価が上昇することを期待する投資方法です。もっとも、どの銘柄が成長株であるのかを見分けるのは難しく、「割安株(バリュー株)投資」と比べて、銘柄を見極めるために多くの時間を要します。

企業の長期的な成長を前提としているため、検証にも時間がかかるということです。そのため、深く考えることなく成長株投資をしてしまうと、5年後・10年後に後悔することになります。それでは取り返しがつきません。そうならないために、成長株を見極める5つのポイントをお伝えします。

【参考記事】図解:年収1000万円はお金持ちではない

成長株を見極める5つのポイント

1.増収増益である

成長株にとって最も大切なのは、その企業の「業績」です。

エムスリー<2413>でご説明しましょう。国内で約20万人以上の医師が会員登録する情報サイト「m3.com」を運営している企業です。医療情報担当者(MR)の役割をインターネット上で代替し、製薬会社などから販促費を得るという独自のビジネスモデルと、積極的な海外展開やM&Aで急成長してきました。

同社は2004年に東証マザーズに上場。2007年より東証一部上場銘柄となりました。同社の業績と株価の推移を見てみると、売上・利益の伸びとともに株価も大きく伸びていることがわかります。株価の成長における業績の重要性が一目瞭然と言えるでしょう。

kabumado170208-1b.png

一般的に成長株は、「2ケタの増収増益率での成長が望ましい」と言われています。エムスリーは上場以来、売上・利益ともに2ケタ成長を維持しています。業績の拡大とともに、時価総額もそれに応じて増加基調となり、2004年末時点で410億円だったのが、2016年5月には1兆円を超え、約25倍に拡大しました。

このように株価は、長期的に見た場合には業績の影響を受けると考えられています。金融危機などの外部環境に一時的に左右されたとしても、業績をベースにした現在価値に近づく傾向があります。長期的な株価の成長は、その企業の業績や事業リスクによって形成されると考えてもいいでしょう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

原油先物5週間ぶり高値、トランプ氏のロシア・イラン

ビジネス

トランプ関税で目先景気後退入り想定せず=IMF専務

ビジネス

トランプ関税、国内企業に痛手なら再生支援の必要も=

ビジネス

現代自、米ディーラーに値上げの可能性を通告 トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中