最新記事

投資の基礎知識

未来のアップルを探せ! 成長株を見極める5つのポイント

2017年2月8日(水)20時10分
岡田 禎子 ※株の窓口より転載

2.株価チャートが持続的な上昇トレンドである

成長株の株価チャートには、特徴的なパターンがあります。具体的には3つのステージに分かれ、第1ステージは「黎明期」、第2ステージは「急成長期」、第3ステージは「成熟期」です。

成長株を見分けるには、第2ステージが重要です。成長株の株価は、新高値(その時点での過去最高値)を更新した後、急速な伸びを見せます。この伸びの勢いが持続的な上昇トレンドであるかどうかが、その銘柄が成長株かどうかの判断材料となります。

エムスリー<2413>の株価チャートを見てみましょう。まず第1ステージは、企業にとっても黎明期です。売上や利益などの業績や会社見通しが不安定で、株価も同様に上下を繰り返します。エムスリーも、投資家の高い期待に業績の成長スピードが追いつかず、株価は低迷していました。

kabumado170208-2b.png

第2ステージは急成長期です。利益が急拡大し、株価も新高値を超えて大きく上昇します。エムスリーも2013年あたりで第2ステージに移行しています。その時期の同社の業績を確認してみましょう。

kabumado170208-3b.png

(会社資料および『会社四季報』より作成)

これは、エムスリーの2012年から2013年にかけての四半期決算ごとの対前期増減率です。ご覧のとおり、2013年から売上高が大幅に増加していることが見て取れます。売上高が大幅に伸びたためにEPS(1株あたり純利益=当期純利益÷発行済株式数)も急増し、株価が大きく上昇します。

ここでチェックしたいのが、外国人持株比率です。外国人投資家(機関投資家)は四半期ごとのEPSの成長を重要視します。エムスリーの外国人持株比率は、2012年には21.1%に過ぎなかったのが、2013年に入ると30.4%、さらに36.4%にまで上昇します。EPSの大幅な伸びに伴い、機関投資家が同銘柄を買い集めるようになり、出来高が増加、さらにマーケット参加者が買い進めた結果、株価上昇が加速する----という構図が読み取れます。

そして、企業の成長に陰りが見え始めると、第3ステージの成熟期へと移行します。成長率が鈍化して株価も下落、低成長株へと変わっていきます。そのため、現在どのステージにいるのかを見分けることが大切です。第2ステージでうまく投資することができれば、大きな儲けに繋がります。

3.PERが高い

PER(株価収益率)は、現在の株価が割安か割高か、それとも妥当なのかを判断する際によく使われる指標で、株価が利益に対して何倍かを表しています。PERが高いということは、業績以上の評価をされている=割高ということになります。


PER=株価÷EPS(1株あたり純利益) もしくは PER=時価総額÷純利益

しかし、成長株投資においては、高PERであることはさほど問題になりません。PERが高い企業は、それだけ投資家が将来の成長性を期待している、ということでもあります。したがって、成長株は当然PERが高くなるのです。エムスリー<2431>も高PER銘柄として有名で、2016年11月末時点でも60倍以上で推移しています。

なお、業種によって差はありますが、東証1部上場銘柄の平均PERは17倍前後。そして、高PERであることがポイントとなる成長株投資に対して、低PER(=業績に株価が追いついていない)に注目して投資する方法が「割安株(バリュー株)投資」です。

(参考記事)鵜呑み厳禁! 地味だけど堅実と言われる「割安株投資」の真実

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中