最新記事

投資の基礎知識

未来のアップルを探せ! 成長株を見極める5つのポイント

2017年2月8日(水)20時10分
岡田 禎子 ※株の窓口より転載

4.時価総額が比較的小さい

成長株にとって、会社の価値を表す時価総額は重要です。


時価総額=株価×発行済株式数

たとえば、時価総額が4兆円を超えているファーストリテイリング<9983>のような大型株が、短期間のうちに株価が5倍や10倍にもなるのは簡単ではありません。なぜなら、企業価値の源泉である「売上(利益)」が、短期間で5倍や10倍になるビジネスモデルを新たに作り上げる、ということを意味するからです。

(参考記事)「時価総額」から見えてくる意外な事実 プロは常にここを意識している

2016年11月末現在、日本の時価総額1位はトヨタ自動車<7203>の約22兆円ですが、ここから自動車以外のビジネスやまったく異なる業種業態で好業績を収めたとしても、現業の数倍以上のインパクト(企業価値)を短期間で出せるでしょうか?(なお、2013年には円安のおかげで同社の純利益は約2800億円から2.3兆円へと約8.2倍なりましたが、そのときでも株価は約1.6倍の伸びでした)

それに比べて時価総額が200億円以下の中・小型株は、新たなマーケットの創出や需要の開拓、企業買収による業績効果などによって、短期間で期待とともに業績を伴なった株価の大幅上昇が起こり得ます。文字どおり5倍にも10倍にもなるケースがあるのです。

5.将来の「成長ストーリー」に陰りがない

成長株は、その成長性が期待されて買われているので、決算発表時の来期業績予想で増収増益がストップしたり、増益率が下がってしまったり、ネガティブ・サプライズ(予想外の悪材料の発表など)があったりすると、一転して大きく売り込まれます。成長が鈍化したと投資家たちが判断し、株価に乗っていた「高成長ストーリー」が剥がれ落ち、株価は大きく下落します。

ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>は、ゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ」の大ヒットによって、2013年5月に株価が急騰しました。しかし、翌2014年には増益率が鈍化し、また次のヒット作も見当たらず、株価は急落したまま現在まで調整が続いています。

kabumado170208-4b.png

このように、成長株でも、特に業績の変化が早い小型成長株は、値動きが荒いため、業績動向を常に注視し、機敏な投資を心がけることが求められます。

あなたもフォレスト・ガンプになれる?

成長株には、エムスリーのように長期間かけて業績が拡大してきた企業もあれば、ガンホーのように短期間で業績の変化が早い企業もあります。フォレスト・ガンプなら、「株式投資はチョコレートの箱のようなものだ、投資してみるまで中身はわからない」と言うかもしれません。いずれにせよ、銘柄選択をしっかりと行えば、大きな利益を手にする可能性があります。

【参考記事】なぜ投資の初心者が高度なFXをやりがたるのか

ただし、ここで勘違いしてはならない重要なポイントがあります。それは、このような成長株投資は数か月といった期間ではなく、数年から10年以上をかける長期投資を前提していることです。もっと短期間で利益を出したい場合は、業績よりも株価の動向に注目したトレードを行うべきでしょう。

その特性をしっかりと理解し、じっくりと時間をかけて株式投資に取り組みたいという場合には、ぜひ「未来のアップル株」探しに乗り出してみてください。

[筆者]
岡田 禎子[おかだ・さちこ]
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆、セミナーなどで活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ウォン安と不動産価格上昇、過剰流動性だけが背景では

ビジネス

12月の豪消費者信頼感指数、悲観論が再び優勢 物価

ビジネス

ベトナムEVビンファスト、対インドネシア投資拡大へ

ワールド

EUメルコスルFTAに暗雲、仏伊が最終採決延期で結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中