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<ワールド・ニュース・アトラス/山田敏弘>

3.11から6年、セキュリティ専門家が語る原発サイバー攻撃のリアリティ

2017年3月9日(木)18時15分
山田敏弘(ジャーナリスト)

ただラングナーは、原子力や核施設をサイバー攻撃で破壊することは実際に実行可能だとも指摘した。原発でも、「(中央制御室などにある)内部の制御装置と非常用電源にマルウェアを仕込んで、外部電源をプラスチック爆弾か何かで破壊すれば、大事故になる可能性があるだろう」と話している。

ネット上の陰謀論は飛躍しすぎているが、サイバー攻撃が現実の脅威であることに疑いの余地はない。2009年の時点でイランの核燃料施設をマルウェアで破壊する技術が存在していたことを考えれば、現在はさらに高度な攻撃が可能になっていると考えられる。

その上で、ラングナーはこう述べている。「実在する重要インフラにマルウェアを送り込んで攻撃するというコンセプトは、他の産業に対しても応用されかねない」

福島の原発事故から6年、そろそろ原子力関連施設へのサイバー攻撃に対して現実的、本格的な対策を協議すべき時期なのかもしれない。

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