中国、海軍増強を加速 予測不能なトランプ政権に対抗か
<加速する軍事近代化>
かつて活動範囲は概して沿岸地域に限られていた中国海軍だが、習近平国家主席が進める野心的な軍事近代化の下で急速に発展している。
中国国営メディアによると、2016年にはミサイル駆逐艦、コルベット艦、誘導ミサイルフリゲート艦を含む18隻が就役した。
1月に電子偵察船が就役するなど、何かしら新しい装備が発表されない週はほとんどない。
それでも中国海軍は米国に著しく後れを取っている。中国が空母1隻を稼働しているのに対し、米国は10隻。しかも中国の空母は旧ソ連製の「遼寧」である。
退役少将で、現在は政府系の中国軍控与裁軍協会でシニアアドバイザーを務める徐光裕氏は、海洋における米国の戦力投射能力を中国は痛感させられたと指摘する。
「マラソンのようなものだ。われわれは後を追っている。スピードを上げる必要がある」と同氏は述べた。
トランプ大統領は、米史上最大規模の軍増強の一環として、海軍の艦船を現在の290隻から350隻に増やすと約束している。同大統領の側近によれば、この動きは軍事国家としての中国の台頭に対抗するために必要な措置だという。
「15年から20年かかる計画であることは分かっているが、彼ら(中国)は年々、世界的野望とともに大海原を視野に入れた海軍力の保有に近づいている」と、ある米政府当局者は匿名で語った。
「新たな予算を受け、中国海軍は短期的には南シナ海や東シナ海において首位の戦力を維持することを目指すだろう。また中期的にはそれをインド洋にまで拡大させるのが目標だ」
中国は1月、そうした目標を推し進めるため、沈金龍中将を海軍トップに就任させた。
スピード出世となる沈氏は、習国家主席に近い人物だと、外交筋や中国政府筋は言う。
「沈氏がトップになって海軍はとてもラッキーだ。自分たちの働きが上層部にまで確実に伝わることが分かっているのだから」と、軍部に近い中国政府当局者は匿名を条件にこう話した。