アメリカ為替政策のスタンスつかみかねる日本、当面は静観維持
一方で麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領をトップとする「日米経済対話」の設置が決定。トランプ大統領から直接的に為替や自動車分野で対日批判が出てくる可能性を抑制する「体制」も整えられた。
政府・与党内には、日米首脳会談でトランプ大統領が「蜜月」を演出し、円安や自動車を材料にした対日批判を封印したことで、ひとまず円安や自動車での批判は出てこないだろうとの安心感が広がっている。
だが、米政権が「ドル安志向」なのか、「ドル高容認」なのかその本音をつかみきれないとの声が政府関係者から漏れてくる。
「トランプ政権の経済政策を実行すれば、経済は過熱気味となるためFRBの利上げは必要になるだろう」(日銀幹部)との見方がある一方、「FRBの政策はトランプ政権(の志向する方向)と異なり、いずれ修正を余儀なくされるのではないか」(政府高官)と予想する向きもある。
別の政府高官は「今の米国にとって(急激な)利上げが、本当に良いことかわからない。米(金融・為替)政策の方向はわかりくい」と述べている。
フリン氏が米大統領補佐官を辞任し、労働長官の指名でも迷走。トランプ政権は人事面でのごたごたが続いている。政治任用となっている各省庁の幹部人事も停滞しており、麻生副総理は15日、ペンス副大統領訪日時に予定している初回の経済対話でも「米側がスタッフ不足」のため、詳細を「詰めた話が出る感じはしない」(衆院財務金融委員会)と述べた。
日本政府の内部では「あえて今、日本側から為替議論を持ち掛けないのが得策」(政府関係者)との声が広がっている。
(竹本能文 編集:田巻一彦)
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