ブレグジットの影で進んでいた「孤独」の健康被害。英国で委員会発足
アメリカでも1980年代から倍増している
一方でデイリーメールは、米国では現在6000万人、成人の40〜45%が高い頻度で孤独を感じており、その数は1980年代から倍増していると伝えている。ベビーブーマー世代が高齢に近づいている今、孤独を感じる人はますます増える見込みだという。
では実際、孤独は健康にどういった影響を及ぼすのだろうか。前述のデイリーメールは、孤独が気分障害やうつ病を引き起こす可能性もあるが、心臓病や高血圧、免疫機能障害や神経系障害といった身体的な疾患との関連もあると述べている。同紙はさらに、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で孤独による健康への影響を研究するスティーブ・コール博士による談話を紹介。同博士の2007年の研究結果では、「慢性的な孤独を経験した人とそうではない人との間には、細胞レベルで大きな違いが見られる」ことがわかったという。
孤独に苦しむ人の場合、炎症に反応する遺伝子が「オン」の状態になっているのだ。「炎症は急な怪我に反応する場合はいいが、慢性的に炎症の状態が続くと、アテローム性動脈硬化症や循環器疾患、神経変性疾患、転移性がんといった慢性病を誘発する原因となってしまう」とコール博士は話す。
孤独は「静かなる疫病」であり、心配性やうつ病よりもリスクが大きいと、コール博士は考えているという。タイムも2015年の記事で、米ブリガム・ヤング大学による調査について取り上げ、孤独が、肥満や薬物乱用に匹敵する公衆衛生上の問題になり得ると指摘していた。
上記は英米での調査結果だが、単身世帯や高齢者が増加している日本でも、孤独が健康を害する問題は他人事ではないだろう。