最新記事

アメリカ政治

トランプ乱発「大統領令」とは? 日本人が知らない基礎知識

2017年2月2日(木)15時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

大統領令を無効にする方法は?

報道によれば、トランプの入国禁止の大統領令に対しては、人権団体に加え、ワシントン、ニューヨーク、マサチューセッツの3州が憲法に違反するとして無効を求めて提訴(2月1日現在)。不法移民に寛容な「サンクチュアリ・シティー(聖域都市)」の1つであるサンフランシスコ市は、聖域都市への連邦交付金を削減するという別の大統領令に対して、1月31日に訴訟を起こしている。

憲法違反を司法に訴える――。

もしも大統領令に反対だったり、従いたくなかったりした場合、他に方法はないのだろうか。何しろ議会での議論のプロセスを経ていないのに、法律と同程度の効力を持つのだ。

オンラインマガジン「クォーツ」の記事(1月31日付)によれば、大統領令が無効になるケースは3つある。1つは、裁判所が「違法」「違憲」という判決を出すこと。もう1つは、議会が大統領令を無効あるいは修正する法律を通すことだ。

ただし、議会の対抗策に対しては、大統領は大統領拒否権という権限を有している。大統領が拒否権により法案を差し戻した場合、議会は3分の2以上の多数で再可決しなければならない。

最後の1つは、大統領自身が大統領令を無効にしたり修正したりすることだ。実際に2月1日には、入国禁止の大統領令を巡り、永住権保有者は入国に際して今回の措置適用の免除を申請する必要はないとの見解をホワイトハウスが示した。

また、サイバーセキュリティに関する大統領令に署名予定だったが土壇場になってやめたと、英インディペンデント紙などが報じている。理由は定かではないが、そうした事例もあり得る。

しかしクォーツの記事は、大統領令が無効になる3つの方法はいずれも現実にはめったに起こらないと論じている。

めったに起こらないことが、今回どれだけ起こるのか。司法に訴えるという反乱はすでに始まっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ビットコインが10万ドルに迫る、トランプ次期米政権

ビジネス

シタデル創業者グリフィン氏、少数株売却に前向き I

ワールド

米SEC委員長が来年1月に退任へ 功績評価の一方で

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦争を警告 米が緊張激化と非難
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中