12歳で売られた花嫁 ロヒンギャの少女を取り巻く現実
前述の結婚した少女は、マレーシアの東海岸にあるクアンタンに連れて行かれた。夫になった男性は、支配的で虐待することがすぐに分かったという。彼女の携帯電話を取り上げ、自分の家族にも彼女を会わせなかった。家のなかで何日も独りで放置されたこともあった。
結婚してから8カ月目に入ったころ、少女は両親と下の4人のきょうだいと連絡が取れ、父親によって救出された。父親は彼女を捜すため、クアンタンまでやって来ていた。
ロイターは少女の夫に電話でコメントを求めたが、応答はなかった。
少女は現在、クアラルンプール郊外の小さな村で、家族と1部屋だけの小屋に暮らしている。
以前より安心しているというが、離婚に応じなかった夫の元に戻らなければいけなくなるかもしれないことを恐れていると少女は語る。
自身も難民でロヒンギャ女性の支援ネットワークを立ち上げたシャリファ・シャキラ氏は、「(ロヒンギャは)法的地位がないため、弁護士や警察に助けを求めることは簡単ではない。子どもの花嫁がいると通報を受けても、警察は動かない」と語った。
尊厳ある生活
国連統計によると、約5万6000人のロヒンギャがマレーシアで生活している。ただしロヒンギャの多くが不法滞在のため、その数はそれよりはるかに多いと、移民支援団体は指摘する。彼らは主に首都クアラルンプール周辺の貧困地区にコミュニティーを築いている。
ロイターが取材したロヒンギャ男性たちによると、このように社会から取り残された小さなコミュニティーに暮らす若い男性にとって、結婚相手を見つけて家族を築くことは、社会的地位を上げて普通の生活をする1つの方法だという。
マレーシアのロヒンギャ社会に結婚相手としてふさわしい女性が不足していることが花嫁の需要を生む一方、一部の家族は結婚を口減らしの手段として考えていると、クアラルンプールに暮らす3人の子の父親であるロヒンギャ男性(32)は話す。この男性の姉妹も幼くして嫁いだという。