ロボット化する社員が企業の倫理的問題を招く
ナチスドイツを含む過酷な全体主義統治者は、これら3つの質問にすべて「イエス」と答えるだろう。また、多くの相場師やトレーダーも、うまく利益を上げられた日には、3つの「イエス」を揃えることだろう。彼らのせいで損をする人がたくさんいたとしても、だ。
つまり、ほとんどの行動について上記のような形式で問えば、誰でも自らを正当化して「イエス」と答えることができるのだ。しかし、それが「正しい」わけではない。なぜなら、次の「4つめの質問」が重要だからだ。
・自分がしていることは、正しい道徳的価値観に基づいているか?
この決定的な質問は、それまでの3つの質問の不完全さを露呈させる。
リーダーであるならば、物事を判断するための思考のフレームワークをつくるといいだろう。それが企業のカルチャーを正しく把握し改善することにつながるはずだ。
「服従倫理」と「合理性の倫理」は反比例する。一人ひとりの従業員がよく考えて思慮深い判断をすればするほど、ルールに従わなければならないという固定的な考えは必要なくなっていく。逆もまた然りだ。彼らが盲目的にルールに従えば従うほど、自らの行動がどんな結果を招くかなどを考慮に入れなくなる。
[執筆者]
ピーター・ネビル・ルイス Peter Neville Lewis
ロンドンのブルネル大学の名誉研究員。プリンシプルド・コンサルティング創業者でもある。
情報工場
2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、エグゼクティブ向け教育機関で世界一と評されるDuke Corporate Educationが発行するビジネス誌『Dialogue Review』や、まだ日本で出版されていない欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約6万人のビジネスパーソンが利用中。 http://www.joho-kojo.com/top