【写真特集】教育も未来も奪われて働くシリア難民の子供たち
ファトマ(8、手前)、クロア(10、右奥)
織物工場で週6日働き、月に70ユーロ稼ぐ。最近、衣料チェーンH&Mとネクストが取引するトルコの工場でシリア人の児童を働かせていたことが発覚した
(左から)ムハメッド・ヌル(11)、オメール・ヌル(12)、アブドゥルカディール・ヌル(14)
アレッポを2年前に脱出し、トルコ南部のキリスで暮らす3人の兄弟は、父が始めた家具店を手伝っている。子供たちを学校に通わせず働かせることについて、父は「ほかにどうしようもない。生きるためだ」と言う。ここにはトルコ人客の知り合いはいても、友達は1人もいない。トルコ人からは、なぜ国のために戦わないのかといつも聞かれるという。子供たちの将来について、父はこう語る。「私は何も望んでいない。何のために希望を持つんだ?」
アメール・アンドルーン(15)、アマール・アンドルーン(13)
兄弟2人は毎朝5時に起きてプラスチック容器を回収し、1日に5~6ユーロを稼いでいる。彼らの父親は言う。「私には仕事がないが、子供たちがゴミ集めをしてくれる。人生で今ほど自分を恥じたことはない」
ムハメッド(14、左)、ハリール(13、右)
2年前にアレッポからガズィアンテプに逃れてきた2人は、自動車修理工場で週6日、60時間働く。トルコ人のオーナーは子供3人を含む7人のシリア人を雇っている。シリア人だけを雇用する理由を問われると、オーナーは「彼らの仕事ぶりがかなりいいからだ」と答えた。工場では子供にしかできない作業もあるのだという。「シリア人たちがここに来るまでは、子供の働き手はなかなか見つからなかった」
撮影:エミン・オズメン
トルコ生まれ。大学で物理学を学んだ後、イスタンブールとオーストリアの大学で写真で学位を取得。トルコのマイクロクレジット、ソマリアの干ばつを取材・撮影した著書がある。シリア、イラクなどの紛争で難民になった人々を追った多くの作品は、トルコ国内をはじめ欧米でも高い評価を得ている
Photographs by Emin Özmen-Agence Le Journal
<本誌2016年8月2日号掲載>