安倍首相の真珠湾訪問を中国が非難――「南京が先だろう!」
要するに、彼らが70年にわたって隠蔽してきた「中国共産党の歴史の真相」が明るみに出るのを恐れているのである。
もちろん、日本は二度と再び、あのような戦争を繰り返してはならない。
その大前提に立った上で言うが、歴史の真相を歪曲しているのは中国共産党自身であることを、中国は認めるべきだろう。
日中戦争による犠牲者数を中国はどんどん増やしていき、江沢民(元国家主席)が言った数値「3500万人」が固定されてしまっている。
ここでその数値の論議をする気はないが、毛沢東が建国後殺戮した無辜の自国民の数は、それを遥かに超えた数千万人(7000万人という数値が共有されている)の命に関しては、中国はなぜ、絶対に言及しないのだろうか?
中国のこの偏った言論弾圧と反日プロパガンダの中で、日米間のような信頼で結ばれた国同士における「広島訪問」と「真珠湾訪問」のような現象は起きにくい。
日本を攻撃する前に、中国はまず「自らの歴史の真相を直視」しなければならないのではないだろうか?
日中国交正常化時代から1990年代初期にわたって日本が中国に差し伸べてきた友好の手を断ち切って、反日一色に邁進してきたのは、中国である。それは「中国共産党の歴史の真相」から人民の眼を逸らさせるためであり、一党支配維持を堅持するためであることを、認めなければならない。
その真実を中国が認めた日に初めて、日米間のような「かつての敵同士の和解」が成り立つのではないだろうか。
中国が自らの歴史の真実を直視する方が先ではないかと思う。その前提でしか、真の信頼関係は訪れない。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。