最新記事

ロボット

ロボット時代の倫理感は? 人とロボットのラブ・セックス・バイオレンス

2016年12月19日(月)21時40分
ReadWrite[日本版]編集部

セラピー用アザラシ型ロボット「パロ(PARO)」は、日本の独立行政法人産業技術総合研究所が開発したアザラシ型ロボット。

<ロボットの存在は、ヘルスケアや軍事、セキュリティなども含め、生活のさまざまなシーンの中で見られるようになってきた。そして近年、「ロボット」は学問を超え倫理面においても考察されるようになってきている>

 Silicon Valley Roboticsは最近、Good Robot Design Councilを立ち上げた。そこでは、ロボティクスの専門家や学者たちへのガイドライン「ロボティクスの原則」が提唱され、マーケティングへの利用やその倫理について述べられている。下記は、その中でも代表的な5つの規則である。

  1. (1) ロボットは兵器として設計されるべきではない
  2. (2) ロボットはプライバシーに関するものを含む既存の法律を守らなければならない
  3. (3) ロボットは製品であり、十分な安全性・信頼性を満たし、機能の説明に誤りがあってはいけない
  4. (4) ロボットは人工物である。ユーザを利用するために感情や主体性があるよう振る舞うべきではない
  5. (5) どのようなロボットについても、誰が責任を追うのかについて追求できるべきである


 これらの規則はEPSRC 2010の「ロボティクスの原理」に準じたものだ。英国では、数ヶ月前にオックスフォードで英国規格協会(BSI)が開催した「ソーシャルロボティクス&AIカンファレンス」においても、ロボットの倫理的リスク評価のアプローチについ。て同じような研究報告「BS8611 ロボットとロボティクスデバイス」が発表されている。

 これは科学者、倫理家、哲学者、ユーザ、ロボットが使うデバイスのデザイナーなどからなる委員会によって執筆されたものだ。米国のガイドラインと同じく、SF作家アイザック・アシモフが提唱した「ロボット三原則」がその根底にある。そこでは、「ロボットは人に危害を加えることを目的に設計されるべきではない」ということや、「人間はロボットとその行動の責任を誰が負うのかを明らかにする義務がある」などが宣言されている。

関連記事:警備ロボは人を守ってくれる? 突き飛ばし事故から懸念される安全性

「ロボットやオートメーションの利用による製造過程の効率化、柔軟性の確保は、製造業の進歩にとって重要だ。だが、それが受け入れられるためには、人が人間性を失ったり、ロボットへの過剰依存といった倫理上の問題に取り組まなければならない。今回のガイダンスはさまざまな用途でのロボット活用を確立するために設計者やユーザはどうするべきかを指し示すものになる」と、BSIの製造部トップのダン・パルマー氏は述べている。

readwrite20161219211135.jpg

 工業やパーソナルケア、医療を含むさまざまなロボットの安全上の要求はあるものの、それでもロボットやオートメーションが日常に組み込まれるという事実に潜む「モラルハザード」は認識されている。そして、それらが特に懸念される分野は、子どもや老人の世話に関するものだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中