最新記事

イタリア

イタリア首相、憲法改正の国民投票敗北で辞意を表明

2016年12月5日(月)11時45分

12月5日、イタリアのレンツィ首相(写真)は、国民投票で自身が提唱した憲法改正に対する反対票が賛成票を上回り否決される見通しとなったことを受け、辞意を表明した。写真は国民投票後の記者会見(2016年 ロイター/Alessandro Bianchi)

 イタリアのレンツィ首相は、4日実施された国民投票で、自身が提唱した憲法改正案が否決される見通しとなったことを受け、辞意を表明した。

 レンツィ首相は、テレビ中継された演説で、「極めて明確」な敗北の責任をとるとし、「わが政権はこれで終わる」と述べた。

 ユーロは対ドルで一時1年8カ月ぶりの安値をつけた。イタリアの政局不安が国内銀行セクターに打撃となる恐れがあるとの懸念が高まった。

 首相は、5日午後に閣議を招集し、その後マッタレッラ大統領に辞表を提出する方針とした。

 レンツィ首相の辞任により2018年に予定されている総選挙が来年に前倒しされ、反ユーロを掲げる「五つ星運動」が政権を握る可能性がある。

 大統領は新たな首相を指名する前に各党の党首と協議を行う。新政権は新たな選挙法の制定に取り組むことになる。

 41歳のレンツィ首相は政界の反主流派として登場し、時代遅れのイタリアを刷新し硬直的な官僚制度を破壊すると訴えて2014年に就任。だが、これまで行った改革の成果は限られる。上院の権限を大幅に縮小して法案の成立を加速するための憲法改正が可決されれば最大の達成になるはずだった。

 憲法改正案の否決により政局が混乱すれば、大手モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)の再建が困難になり、政府の介入が必要になる恐れがある。ほかにも資本不足の銀行が存在するため、負の連鎖的に対する不安が強まっている。

 レンツィ首相の後継候補のひとりと目されるパドアン経済相は9日、憲法改正案の否決された場合、「48時間程度の混乱」はあっても金融市場に「地震」が起きる恐れはないと強調した。



[ローマ 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中