最新記事

中国

内モンゴル自治区の民主化団体が東京で連帯組織を結成した理由

2016年12月3日(土)10時00分
楊海英(本誌コラムニスト)

中国大使館の「官製抗議」

 東京の麻布にある中国大使館はその動向を察知。日本にいる中国人留学生を使って、議員会館前で抗議の声を上げさせた。彼らが掲げた「過激な民族主義は日中友好の障害」との横断幕を見れば、中国の矛先はモンゴル人よりも日本側に向けられていることが分かる。

 モンゴル語で「議会制」を意味する「クリルタイ」という言葉は古くからの歴史を持つ。紀元前の匈奴時代から、さまざまな思想や主張を持つ部族長が草原のテント内に円座し、身分の上下を超えて平等に議論し合ってきた。モンゴルだけでなく、アフガニスタンで各民族の有力者を集めるロヤ・ジルガ(国民大会議)もその一形態だ。

 狭量な思想で他者を排除するのではなく、いつでも議論の場に加われる、開かれた会合――。モンゴル人はそうした伝統を生かしながら、中国政府との対話を呼び掛けている。

[2016年11月29日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラの仏・スウェーデン販売、第1四半期は4年ぶり

ビジネス

英中銀、預金保護の上限引き上げ提案

ワールド

台湾周辺での軍事演習、中国側に懸念を伝達=官房長官

ワールド

豪中銀、政策金利を4.1%に据え置き 米関税の影響
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中