最新記事

2016米大統領選

トランプ、通商・移民改革に意欲 実現には議会指導部と関係修復が必須

2016年11月10日(木)11時34分

11月9日、「ワシントンを変える」を旗印に米大統領選を制した共和党のドナルド・トランプ氏は移民や通商政策の改革に向け強い意欲を示している。写真はニューヨークで撮影(2016年 ロイター/Mike Segar)

 「ワシントンを変える」を旗印に米大統領選を制した共和党のドナルド・トランプ氏は移民や通商政策の改革に向け強い意欲を示している。

 ただ実現には議会の協力が必要。トランプ氏はそもそも議会指導部との関係が良いとは言えず、共和党主流派と思想的な食い違いも指摘されており、「ハネムーン」後の議会共和党との関係に不透明感が残る。

 以下、トランプ氏が掲げる政策と、その実現可能性をまとめた。

通商

 トランプ氏は選挙戦では、国際的な通商協定は米国の労働者並びに競争力を損ねた、との主張を展開した。中国に対しては「強い姿勢で」臨むと約束したほか、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱、および北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、もしくは撤廃を表明した。

 トランプ氏は米大統領として、中国など外国からの輸入品への関税について、税率を引き上げる一定の権限を持つことになる。また議会が批准したとしても、トランプ氏はTPPを先延ばしすることも可能だ。

 エコノミストは、こうした措置がとられた場合、米消費者にとって物価が大幅に上昇、経済にマイナスになりかねないと警告。米国の輸出にも打撃になる可能性があると見ている。

移民

 トランプ氏は、メキシコとの国境沿いに壁を建設すると約束。不法移民を送還し、「テロに屈した」国からの移民を禁止すると表明した。

 こうした政策の実行には、多額の資金が必要と見られる。トランプ氏は、壁建設のコストは80億─120億ドル、との試算を示しているが、コストが同氏の推定を大幅に上回る可能性を指摘する向きも多い。

 政界では、不法移民を全員送還し、国境に壁を築くのに、少なくとも1660億ドルが必要と試算されている。議会共和党の多くは、こうした政策を支持しているが、多額のコストにはたじろぐ可能性がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦争を警告 米が緊張激化と非難

ビジネス

NY外為市場=ドル1年超ぶり高値、ビットコイン10

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 取引禁止

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P1週間ぶり高値 エ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中