「習近平・洪秀柱」国共党首会談――親中・国民党に逆効果
習近平総書記は党首会談で、洪秀柱主席に対して、つぎのように述べた。
「一つの中国の原則のもとで、正式に両岸の敵対関係を終わらせ和平協議を達成すべく協議することは、われわれの一貫した主張でもある。国共両党は、これからこの問題に関して討議を進めてもいい」
それはあたかも、「和平協議を法律的に有効化させたいのなら、政権与党になれ」と言っているように筆者の目には映った。なぜなら「ぜひとも討議を進めたい」とは言わずに「可以進行探討(討議を進めてもいい)」という言葉を使ったからだ。そして何よりも、習近平の顔には、「熱意」がなかったからでもある。
台湾の民意に逆行する洪秀柱主席の動き
一方、台湾では、洪秀柱主席の動き方に大きな反発が起きている。
10月30日の「台湾中央社」の報道によれば、洪秀柱氏が大陸に向かうべく飛行場に着くと、そこには大勢の反対派がいて「洪秀柱は共産党に媚びへつらい、台湾を売り渡している」とか「今日は香港、明日は台湾」などといったプラカードを掲げて、洪秀柱氏の過度の中共へのすり寄りを批難したとのこと。もちろん賛成派もいて衝突が起きたようだ。
また多くの中文メディアが「(国民党を建党した)孫文や最後まで中国共産党と戦った蒋介石が、こんにちの国民党のこの "ていたらく" を見たら、どんなに嘆くことだろう」「国民党は良心と気概と尊厳を捨てたのだ」と書いている。
筆者が直接、台湾の大学生たちに電話取材をして得た意見によれば、若者の間ではほとんど(「90%ほどかな」と学生たちは言った)が洪秀柱氏の「和平協議」を「台湾への侮辱」とみなしているという。
「国民党はすでに自尊心を捨ててしまっているのです。これは台湾人の尊厳に関わる問題で、どんなことがあっても、国民党に政権を取らせてはならないと、若者たちは思っています。僕らは、尊厳のために闘ってきたというのに......」という回答もあった。
筆者は2014年に台湾の大学生に対する意識調査を単独に行なったことがあるが、それによれば「最も嫌いな国あるいは地域」のトップは「大陸(=中国)」で、理由は「恐怖政治による言論統一」だった。
このたびの「和平協議」に関しても、意識調査をした時のインタビュー・アンケートに応じてくれたネットワークを使って聞いたところ「この和平とは、恐怖政治の下での和平なのです」と回答する者が多かった。
民意調査のデータ
一般の民意調査は、どの団体が行なったか、あるいはどういう質問を設定したかなどによって結果が違ってくる。それを認識した上でいくつかの例を見てみよう。
まず1989年の天安門事件の指導者の一人であったウアルカイシ氏などが主宰する「台湾民意基金会」が9月27日に発表した民意調査の結果によれば、「67.4%が中国共産党に反感」を抱いており、「19.3%が中国共産党を礼賛」している。また「56%が台湾は将来的には独立した方がいい」と考えているという。