最新記事

アウトドア

いま、ハンモック界が熱い。その最前線と基礎知識

2016年10月27日(木)17時20分
土屋智哉(ハイカーズデポ)、ギアード

 いま、アメリカではハンモック界が熱いです。過去15年間ほど通っているORショー(outdoor retailer show)では、2010年代に入ってからしばらく目新しい潮流がなかったのですが、ここ数年でハンモックのブースがじわじわと増えています。バリエーションも豊富で、Hennessy Hammock のような老舗を筆頭に、これまでORには出店していなかった既存のブランドから新興のメーカーのものまで揃っています。

現代のハンモックブームの特徴

 しかも、ウルトラライトの黎明期にもあった「こんなつくりで大丈夫なの?」といった驚きを与えてくれるハンモックが続々と登場しているのが興味深いところ。特に最近ではハンモックを木に巻き付けるためのストラップに注目が集まり、いかに素早く無駄なくセッティングできるのかを各ガレージメーカーが競っています。ややマニアックですが、すごくおもしろい世界です。

【参考記事】空中にも地上にも張れるハイブリッドなドーム型テント

 こうした草の根的な動きを、大手ブランドがオマージュして製品化する傾向も見られます。NEMO から出ていた Tetrapod というモデルは、Hennessy Hammock と同様にバグネットとタープを付けたシェルターハンモックですが、収納方法やストラップの構造などは現在のハンモックメーカーのトレンドを押さえたものになっています。さらに、 Klymit からハンモック用のマットも発売されるそうです。スリーピングギア全般に定評のある Cascade Designs も、近年はハンモック市場に参戦しています。こうした有名メーカーの動向からも、新しいムーブメントの胎動を感じられます。

Klymit_HammockV_main.jpg

Klymitのハンモック用のマット

注目ULモデルに学ぶハンモックの基礎

 日本にも新しいハンモックギアが入ってきており、以前ご紹介した Hummingbird Hammocks のラインナップにも、シングル+という新たなサイズが加わりました。ほとんどのハンモックメーカーは、一人用のシングルサイズと二人で入れるダブルサイズを用意しています。そのなかでも、Hummingbird のシングルサイズはわずか145gという驚異的な軽さです。

Hummingbird-Forest-Green.jpg

パラシュートで使われる薄いリップストップ・ナイロンを使っている

 9366907_orig.jpg

パンツのバックポケットに入るコンパクトさ

 しかし、そこで注意しなければならないのが横になれる面積の問題です。というのも、本来ハンモックは張った方向にそって水平に寝そべるのではなく、垂直か斜めに入ったほうが快適に過ごせるからです。水平に入ると、ハンモックのたわみと同じ方向に重心がかかって腰が曲がってしまい、揺れやすくなります。一方、垂直か斜めに入ると荷重を分散させて体をフラットに保てるし、横揺れも防げる。中南米で使われているブラジリアンハンモックのように睡眠に特化したものも、やはり縦に入れるように幅が広くとられていますよね。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中