米で頻発するサイバー攻撃は大規模攻撃の腕試しだ
コンピューターセキュリティの専門家で暗号を研究するアメリカのブルース・シュナイアーは、DDoS攻撃が続く理由について、「何者かがインターネットをダウンさせる方法を習得しつつある」と指摘した。ただし彼にも、誰が犯行に及んだかを特定することはできない。
アメリカを拠点とする「ニュー・ワールド・ハッキング」と名乗るグループが、今回の攻撃への関与を認めた。同グループは2015年に英BBCのホームページの閲覧ができなくなった際にも犯行声明を出した過去がある。メンバーの1人は犯行の動機について、ウィキリークスの創設者であるアサンジを支援するためだと述べた。アサンジは先週、米民主党大統領候補ヒラリー・クリントン陣営のメールのハッキングをめぐり、亡命先のエクアドルでネット回線を切断された。
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「我々はスーパーコンピューターのボットネット(遠隔操作できる攻撃用ソフト)やIoTのボットネットを使った」と、同グループは本誌の取材に答えた。「我々は試験を行っているだけで、連邦捜査局(FBI)の捜査対象にはなりたくない。正当な理由に基づいて行っている」
あてにならない犯行声明
サイバーセキュリティの専門家は彼らの主張を一蹴する。米セキュリティー会社の「フラッシュポイント」は同グループを「詐欺集団」とこき下ろした。
マカフィーも犯行声明に疑問を呈したうえで、外国政府の資金援助を受けたより高度なハッカー集団が関与している可能性を指摘した。
「ダークウェブ(犯罪の温床になっているサイバー空間)の情報によると、121局と呼ばれる精鋭サイバー攻撃部隊が関わっている」とマカフィーは言った。「米政府とFBIは北朝鮮のサイバー攻撃能力は高くないと主張するが、それは誤りだ。北朝鮮のハッカーたちは並々ならぬ高度な技術を持ち、組織力も高い。それに確かな動機もある。間違いなく彼らはアメリカを憎んでいるはずだ」
121局の実態は謎に包まれているが、韓国国防省によると、北朝鮮は2015年から部隊を6000人に増員した。過去に北朝鮮が関与したとされる大規模なサイバー攻撃では、2014年の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の暗殺を描いたコメディー映画『ザ・インタビュー(The Interview)』の公開直前に、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントのサーバーがハッカー集団による攻撃を受けた。当時はハリウッド俳優などの個人情報が流出する被害が出た。