ナジブ首相の足をひっぱるマレーシアのイメルダ夫人
9月14日の地元マスコミネット版にはロスマ夫人の写真が大きく掲載され、その写真に写る腕時計とイヤリングが拡大され「腕時計=250万リンギット(約61万7000円)、イヤリング=50万リンギット(約12万3000円)」との大きな見出しがつけられて報じられた。さらに米紙WSJの報道を引用する形で「最近数年間のクレジットカードの支払いが600万米ドルになった」「2008年から2015年までに洋服、靴、宝石をロンドンのハロッズ、ニューヨーク5番街のSaksなどで少なくとも600万ドルを支払っているその額と同じである」「この金額の一部には1MDBの資金が流用されている可能性がある」「夫人自身には定期的な収入はない」などと指摘して、ロスマ夫人にまつわる疑惑を報じた。そしてロスマ夫人のお気に入りブランドが「エルメス・バーキンのハンドバッグ」であるともNYTは伝えた。
このほかにNYTはロスマ夫人には米ニューヨークにあるタイムワーナーセンターのペントハウス(約3000万ドル)、ロスアンゼルスのLAヒルズにあるマンション(約3900万ドル)などを含む約10億ドルの資産があるとも報じている。
夫唱婦随のスキャンダル、疑惑
ナジブ首相が副首相時代の2008年6月にはネットニュースの編集者が「ナジブ副首相夫人のロスマ女史が殺人現場に居合わせた」と指摘、殺人事件への関与疑惑が浮上したこともある。しかし副首相側が政治的陰謀として全面否定したが、ロスマ夫人は警察の事情聴取を受けたとされている。
また2015年8月には「首相夫人がマレーシア中央銀行総裁の追放を画策」などと人事への口出し疑惑を報じたアジア・センティネルの記者に対し「ロスマ夫人に対する48時間以内の無条件、自発的全面謝罪」を求める警告が夫人の顧問弁護士から出される事件も起きた。これは首相夫人の地位を利用して政治に介入しようとしたロスマ夫人を追及する報道に「過剰反応」を示したことで、逆に疑惑を深める結果となった事例だ。
今年4月に開かれたバドミントンのマレーシア・オープン決勝戦でマレーシア・バドミントン協会の強力な後援者として優勝選手への賞贈与者としてロスマ夫人の名前が場内にアナウンスされると約1万人の観衆から盛大なブーイングが沸き起こった。さらに8月にはクアラルンプール市内で開かれた政治腐敗追及のデモでは参加者から「ロスマ夫人の金銭疑惑の解明」を捜査当局に求める声があがるなど、世論は次第により厳しくなりつつある。